REPORT

「花あそ部2024」特別講座『ひとりとみんなと、つくるお花見の時間』


渋谷PARCO9階に「お花見」の空間を作り上げる
「花あそ部」は花いけジャパンプロジェクトによるいけばなのクラス。花をいけることを自由に楽しみながら、「​​人はなぜ、花をいけるのか?」という問いに向き合い、花にまつわるクリエーションを体験していきます。

3月10日には、特別講座「ひとりとみんなと、お花見の時間をつくる」を開催しました。講師は、花いけジャパンプロジェクトを主宰する花美術家の日向雄一郎さんです。少しずつ春の気配を感じ始めるようなこの時期にちなみ、今回のテーマは「お花見」。桜の花を生けることを通して、渋谷PARCO9階に「お花見」の空間を作り上げていきました。

 


枝一本一本をじっくり見ながら、ひとりずつ、みんなで生ける
「この時期になるとみんな、春の訪れとともに桜が咲くのを心待ちにしている。そして、お花が好きな人もそうでない人も、桜が咲くとみんなお花見をする。それはなぜだろう。今日は、そんな花の持つ不思議な魅力を、実際に桜を生けながらみんなで見つめてみたいと思います」と、日向さん。授業では、そのための参考書籍として、考古学ならぬ「考花学」を研究されている川崎景介さんによる書籍『花と人のダンス』が生徒の皆さん一人ひとりに配られます。日向さんの解説や書籍もヒントに、花と人との関係についても思いを巡らせていきます。

「お花見」の始まりはなんと平安時代だそう。桜の語源である「咲くらむ」には「春が来るだろう」という意味があり、桜の下で春の訪れを感じながら短歌を詠んだり、豊作を願って宴会をしたりしていたことが現在のお花見の元になっているのだと言います。今回は、渋谷の街並みが望めるPARCO9Fフロアを舞台に、その「お花見」の空間を作り上げていきます。

およそ400種の品種があると言われている桜の中から、今回使うのは「雅桜」。生徒の皆さんそれぞれが一本ずつ桜の枝を持ち、大きな花器に一人ひとり順番に生けます。「枝や花に一つとして同じものはない。枝の向きに逆らわないこと。自分の思い通りになってほしいと思わず、自分が手に取った枝をよくよく見ながら生けましょう」と、日向さん。最初は自分の背の高さくらい(人によってはそれ以上)の大きな枝から、次第に小さい枝へ。生徒の皆さん一人ひとりが、自分が手に取った枝をじっくり観察し向き合いながら、一球入魂で生けていきます。そして、その一人ひとりの姿を、みんなでじっと見守ります。そこに流れるとても静かな時間を、ひとりとみんなで感じていきながら、「お花見」の空間を作り上げていきました。

 


体験を分かち合いつつ、そこから発想してみる
生けた桜を囲み、まさに「お花見」をしながらそれぞれの体験を振り返ります。「生ける前と生けられた後で、花の見え方や佇まいが全然違うものになっていてびっくりした」「『桜はピンク』というイメージだったけど、よく見てみると花もそれぞれ少しずつ色が違うし、枝や葉の色も含め、一本の枝に実は様々な色があることに気づいた」と、生徒の皆さん。生けることを通して、これまで感じられなかった桜の姿が浮かび上がっていきます。

さらに授業の中では、そういったそれぞれの気づきも持ち寄りつつ、それを日常生活でも感じられたり、他の人と分かり合ったりするための方法について生徒同士で意見を交わし合う時間も設けられました。

「今日のように、お花をじっくり見ることのできる機会を増やしたら、生活がもっと豊かになるんじゃないか。公園には芝生はあるけどお花はあまりないから、いろんな公園に花壇を作って、身近にお花に触れられるようにするのはどうかな」「お花は好きだけど、花屋さんでお花を買うのは少しハードルが高く感じてしまう。自分以外にも、そういう人は多いんじゃないかな」と、生徒の皆さんからは様々な意見が挙がりました。花と人との関係は、人類の歴史と重なるかのように長く、普遍的なものでもあるように思いますが、花との人との出会い方は、社会の変化に伴い、さまざまなあり方が求められているようにも感じました。

 


散る姿まで見届ける
「今日生けた桜は、ぜひ持ち帰って家でも生けてみてください。花は散る姿も美しい。毎日観察して、その変化を楽しんでもらえたら嬉しいです」と、日向さん。生徒の皆さんそれぞれに桜の枝がプレゼントされ、本日の授業は終了。以降はそれぞれが自宅で、お花見の時間を過ごしていきます。

今回の「花あそ部」は単発での開催となりましたが、今年度中に続編の実施を予定しています。詳細が決まり次第、GAKUウェブサイトおよびSNSで発信していきますので、ぜひご期待ください。

ところで、日向さんの言葉は、教育プロジェクトであるGAKUの私たちにも響くものがたくさんあります。それは、「よく見て、よく見て、そして、よく見る」「託す。先にいけた人とどのように調和するか」「枝を握りすぎない、大切なものほど握りすぎない」「お花は、おさまるところが必ずある。無理に生けないで、おさまるところにおさめる」「良いいけばなには流れがある」「流れに身を委ねる」と挙げればきりがありません。引き続き、花と人と学びが重なるところを探究していきたいと思います。

(事業主体:国産花き需要拡大推進協議会)

 

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