「『私をつくる教室』をつくる」第4回 中間発表
アイデアを言葉にすることで磨いていく
「『私をつくる教室』をつくる」は、世界的建築家・伊東豊雄さんが主催する建築塾「伊東建築塾」による建築のクラス。講師は、昨年度に引き続きPERSIMMON HILLS architectsの廣岡周平さんとKASAの佐藤敬さん。今年度は10回の授業を通じて、「教室」のアイデアを深めながら、実現していくことを目指していきます。
12月10日の第4回では、アイデアの中間発表会を開催しました。生徒の皆さんそれぞれが考える「教室」のアイデアを模型やスケッチとともに発表。講師の廣岡さん、佐藤さんから生徒一人ひとりへフィードバックが贈られました。
フィードバックを贈り合う
自分は何を学びたいか。その学びをどこで、どのように育みたいのか。そもそも、「学ぶ」とはどのようなものか。生徒の皆さんそれぞれが自分の興味関心と向き合いながら、「教室」を構想していったこれまでの授業。今回の中間発表では、その検討の成果や創意工夫とともに「学び」に対するそれぞれの想いも語られていきます。
「飛行機が大好きなので、一番近くで眺めながら学べる教室を作りたい。飛行場のすぐ近くにあって、天井の窓から飛行機を観察したり、集まった人同士で交流したりする空間を作ったらとても楽しそう」「美術館や音楽ホールには禁止事項がたくさんある。もっと気軽に、音楽やアートを楽しめる場所を作りたい。さまよいながら歩く迷路みたいな空間や自由気ままに過ごす丘みたいな空間を作ることで、鑑賞する体験そのものからもっと面白くできないかな」「ただ計算式を解くということに留まらない、色々な数学の学び方を見つけてみたい。湖全体を教室にして、空や水やいろんな自然物を観察することから数学を学ぶことができたら、新しい発見がたくさん生まれそう」と、生徒の皆さん。
講師の方々からは「この建築はどのくらいの大きさをイメージしているの?」「なぜこの敷地を選んだの?」「このアイデアで一番自分が大切にしているポイントは?」と、生徒一人ひとりに対する問いかけとともに、じっくりとフィードバックが贈られていきます。そこでは、生徒同士でもフィードバックをし合ったり、さらに今回は、プロダクトデザインのクラス「ものづくりと場づくり」の生徒の皆さんや講師の岩元航大さんもお越しくださり、生徒の皆さんの発表にコメントをいただく場面も。いろんな言葉に耳を傾けながら、アイデアをさらに磨いていくための糸口をそれぞれが掴んでいったようでした。
言葉にするということも、形にすること
「一人ひとりのコンセプトがとてもしっかりしていたから、今回の中間発表ではそれを実現するための建築のあり方について話すことができました。それはすごいことだと思います。今後のエスキスで具体的な形を考えていく時、自分のやりたいことがなんだったのかを忘れないでほしい。そして、言葉にするということも、形にすること。自分のアイデアもそうだし、誰かのアイデアについて言葉を贈ることも、積極的にトライしていきましょう」と、廣岡さん。
「みんなの発表がイキイキしててとても素晴らしかった!そして、この中間発表そのものも、みんなで言葉を交換することで学び合うような場になっていたことがとても良かった。そういった意見交換を積極的にしながら、それぞれの検討している『教室』も豊かにしていってもらえたらと思います」と、佐藤さん。
講師のお二人からは、今後の創作を後押しするようなコメントが贈られ、授業が締めくくられました。
次回は、アイデアのブラッシュアップを進めていく
今後の授業では、約2ヶ月後に控える最終発表会に向けてアイデアのブラッシュアップを進めていきます。今回の中間発表で得た気づきやインスピレーションをどのようにそれぞれのアイデアに活かしていくのか。次回の授業では講師やTAの方々との作戦会議の場も設けつつ、それぞれの課題や磨くべきポイントを明確にしていきます。
(写真・執筆:佐藤海)