REPORT

「この町を大事に思えるキオスク」第7回 製作①


一人ひとりと向き合ってアイデアを磨いていく
「この町を大事に思えるキオスク」は、世界的建築家・伊東豊雄さんが主催する建築塾「伊東建築塾」による建築のクラス。講師には、PERSIMMON HILLS architectsの廣岡周平さんとKASAの佐藤敬さんをお招きし、11回の授業を通じて実際に暮らしのなかにある売店「キオスク」のアイデアを実現していくことを目指します。

講師のお二人に加え、伊東豊雄さんや渋谷川沿いのフィールドを提供をしてくださっている東急株式会社の吉澤裕樹さんたちから、15名それぞれに個別のフィードバックが贈られた前回の中間発表。12月25日(日)の第7回では、廣岡さんや佐藤さんが生徒一人一人と個別に話し合いながら、贈られた言葉の意味を改めて確認しながら個々の作品のコンセプトを磨いていきました。

 

手も頭も身体もつかって考える
前回の中間発表でのフィードバックも振り返りつつ自分のアイデアを改めて見つめ直してみると、検討すべきポイントがどんどん浮かび上がってきます。伊東豊雄さんが言う「腹の底から実現したいこと」。それは、自分自身から出てくるものなのか。敷地の可能性を観察して出てくるものなのか。商いを考察して出てくるものなのか。そのどれかではなく、全てが重なるところを目指してはいるものの、それを掴むことが難しい。そこに曖昧さがあると、講師の方々から優しくも的確に指摘を受けるので、生徒の皆さんの試行錯誤が止まることはありません。

「やりたかったことを実現するためには、元々選んでいた敷地じゃないほうが良いかもしれない」「キオスクのあり方としてもう少し考えを深めた方が良いかもしれない」「そもそも自分は何を作りたいんだろうか」。廣岡さんが言うような「何かを生み出す時には『中心』となるものが必要」というフレーズも、ここにきて響いてきます。手や考えが止まる度に、廣岡さんや佐藤さんは一緒にアイデアをスケッチに起こしていったりスケールを確認したり、突破口を一緒に見出そうとしてくれます。ボディランゲージも織り交ぜながら、全身全霊で一緒に課題を解決してくれようとしている姿が印象的でした。

 

課題をポジティブに捉えることで可能性が拓ける
「ここからは、『何を作るか』ではなく『どう作るか』のフェーズ。アイデアを実現することを具体的に考えるといろんな課題が見えてくるし、出てくる。ぜひそれらとポジティブな気持ちに向き合ってみてほしい。課題を乗り越えることでアイデアのより良い形を探っていこう」と、佐藤さん。授業の終わりには、自由に思い描くことと具体的に形にすることを同時に進めていくというクリエーションの難しさにまさに直面している生徒の皆さんへエールの言葉が贈られました。

 

次回は、渋谷川沿いで2回目のフィールドワーク
次回の授業は、創作の舞台となる渋谷川沿いでの2回目のフィールドワークを行います。「なんだか居心地がよくて好き」「この場所で何かしてみたい」といった個々の身体からのインスピレーションを通して、アイデアを展開したい敷地を決めていった1回目のフィールドワーク。今回はそれぞれが検討しているアイデアを持って改めて現地へ訪れることで、実際のスケール感を確かめながらアイデアの具体的な展開の仕方を検証していきます。

 

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