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「東京芸術中学」第41回 瀧本幹也さん(前半)

編集者・菅付雅信さんと15人の世界的クリエイターによる、「本物のクリエイティヴ」に出会うアートスクール『東京芸術中学』。2021年6月12日(土)は、写真家の瀧本幹也さんによる1回目の授業を開講しました!

写真家としてサントリー天然水やポカリスウェットなどの広告写真を撮影するほか、『海街ダイアリー』など映画の撮影も手がける瀧本さん。ご自身は10代半ばで写真に魅了され高校を中退。そこからすぐにその世界に飛び込んだと言います。

講義の中では、CGを使わずに俳優とチーターを一緒に撮影した作品から、黒と青を混ぜた円を背景に描いてピンポン球の影を表現した作品、さらには500個の化粧品を家中に貼り付けて撮影した作品まで、これまで瀧本さんが手がけた様々な写真や映像を皆さんで観ていきます。広告を中心としたそれぞれの作品には、クライアントからのどんなオーダーがあったのか?どのようにそのオーダーに対応したのか?そして、どのようにそのオーダーを超え、より人々を惹きつける作品にしていったのか?そんなアイディアも紹介いただきながら、それぞれの裏側を探っていきます。

ミュージシャンの坂本龍一さんからオーダーを受けた『lost child』という曲のミュージックビデオの鑑賞前には、瀧本さんから「これはどうやって撮ったと思いますか?ぜひ当ててみてください。」という投げかけが。真っ暗な中を白い光が静かに動いていく映像を、受講生の皆さんが見つめます。「鏡を複数使って反射させた!」「布に明かりを入れて振った?」など、観た後の皆さんからは様々な解答が挙げられましたが惜しくもハズレ。そこに、実際に撮影に使用したというある機械が登場しました!予想もしないほど身近なアイディアで作品が制作されていたことに驚きつつ、瀧本さんに技法をレクチャーいただきながら、その世界観を受講生がそれぞれ再現していきました。

「どうしたら楽しんで撮影できるかをいつも考えています。撮影って一生懸命だから、ドキドキしているから汗をかく。それってとても人間的。それを感じるのが僕は楽しいんです。しかも、実際に体を動かしていくうちにアイディアが生まれてくる。だけど様々なことがデジタル化していくと段々汗はかかなくなる。頭の中にあるイメージは簡単に完成するけど、それを超えられるアイディアは生まれなくなる。僕はそのアイディアに出会うことを期待しているから、今こうやって撮影しているんだと思います。」(事務局の意訳です♩)これまでの作品を振り返りながら、講義の最後には瀧本さんからこんなコメントをいただきました。

そんな瀧本さんからの課題は「あなたが考える、オリンピックを象徴する写真」を撮ってくること。自分なりにオリンピックについて考えを深めながら撮影することで、受講生それぞれの写真にはどのように写し出されるのでしょうか?次回の瀧本さんの授業が楽しみです!

 

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