「花あそ部」 第3回 小嶋寛郎さん
「花あそ部」は花いけジャパンプロジェクトによる「いけばな」のクラス。ゴッホやベートーベン、シェイクスピアにガウディ。様々な芸術家になぞらえた授業を通して、花といういきものと向き合う「いけばな」の表現を学んでいきます。
2021年7月10日(土)には、第3回授業「おしえてシェイクスピア 言の葉の花」が開催されました。講師は、NHK紅白歌合戦で流れる映像やプロモーションビデオなど、様々な映像のプロデューサーをされている、花いけジャパンプロジェクト理事の小嶋寛郎さんです。
文学界で数々の有名作を生み出したシェイクスピアから、どんなことが学べるだろう?花での表現に、どのようにつながっていくのだろう?そんな疑問が頭に浮かぶ中、今回は、授業説明の前に花いけの実演が!実演をしてくれたのは次回授業の講師である、華道家・平間磨理夫さん。プロのパフォーマンスに圧倒されながら、授業がスタートしました。
今回のテーマは、「思いをかたちにする」。
「シェイクスピアの作品や言葉が現在でも親しまれているのは、時代にとらわれない“普遍的”な表現だから。今回はそんなシェイクスピアにならって、“思いをかたちにする”ということにいけばなを通してチャレンジしてみましょう。」(事務局の意訳です♩)はじめに、思いを言葉にしてみる。次に、その言葉を、花といういきものをを通してかたちにする。今回はそんな2つを通して、「思いをかたちにする」ことを実践していきます。まずは練習として、「かわいい」「やばい」という2つの言葉がお題に。自分にとって「かわいい」「やばい」ってどういうことだろう?言葉の意味を考えながら、それをいけばなで表現してみます。
作品が完成したら、一人一人に作品のポイントや個々が感じた言葉の意味を聞いていきます。「かわいい、はシンプルでピュアなことだと思う。」「かわいい、という言葉で思い浮かんだ、同級生の子をイメージしていけました。」「やばい、は不安定な感じ。倒れてしまいそうな背の高い1本の花でそれを表現しました。」それぞれの視点から生まれた、全く異なった作品たち。同じ言葉にも、いろんな側面や感じ方があることを改めて実感します。
次のお題はそれぞれの「誰かに対する思い」。色紙に思いを綴り、その言葉を花で表現していきます。友達への思いや自分への思い、海・自然への思い、普段使っている楽器への思い。様々な思いを込めながら、花をいける。自分で綴った言葉を眺めながら、花をいける。そんな生徒の皆さんの姿は、まるで自分自身と花と、対話をしているかのようでした。実際に完成した作品と言葉、そして個々の思いを聞きながらの発表では、「この花は他の花と雰囲気が少し違うけど、なぜ加えたの?」「この花は自分を表しているのかな?なんでこの花を選んだのだろう?」そんな講師の方々の問いかけから、自分の表現したいこと、伝えたい思いがさらに深まっていきます。思いを言葉にする、言葉を花で表現する。授業を通して、それぞれが自分の思いを再確認するような、また気づかなかった自分の気持ちに出会うような、そんな時間でした。