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「東京芸術中学」第34回 石田英敬さん(前半)

編集者・菅付雅信さんと15人の世界的クリエイターによる、「本物のクリエイティヴ」に出会うアートスクール『東京芸術中学』。2021年5月22日(土)の授業では、研究者の石田英敬さんによる1回目の授業。課題図書の小説『クララとお日さま』を通し、「AF(人工友達)の気持ちって、どんな気持ち?」、そんなテーマについて受講生の皆さんと一緒に取り組んでいきました。

記号論を専門とする研究者の石田さんは、東京大学の名誉教授。講義冒頭には、その学問のはじまりについて、数々の哲学者たちの言葉を引用しながら、解説してくださいます。さらに、いまの私たちに欠かせないコンピューターを発明したきっかけとなったのも記号論であると、石田さん。そして、コンピューターの技術が発展し、今回のテーマのベースとなるAI(人工知能)にも繋がっていくと言います。

課題図書の『クララとお日さま』(カズオイシグロ著)は、太陽エネルギーで動く人型ロボットが売買される近未来の物語。AIを搭載した人型ロボットであり、AF(人工友達)であるクララと、その周りのヒトとの暮らしが描かれています。

「今回の講義はAI、そしてAFについて考えます。でも、その前に、私たちヒト自身、生まれつきのサイボーグなんです。知っていましたか?」石田さんからの意外な問いかけに、生徒の皆さんもぐっと惹きつけられた表情に。じゃあ、サイボーグってそもそもなんだろう?どうして「生まれつき」なんだろう? AIと私たち、違うところ、同じところはどこなんだろう?そんな疑問を、ヒトの歴史を石器時代まで遡りながら、紐解いていきます。

講義の中では、古代にとっての石器、現代にとってのスマートフォン、これらの道具なしではヒトは生きられないこと、いつの時代もコミニケーションを重ねながら気を遣い合っていることなど。具体的なエピソードも交えながら、「技術」や「道具」、「環境」や「友達」をキーワードに、私たちヒトに着目しながら講義が進んでいきました。

そんな石田さんからの課題は、『クララとお日さま』の1シーンをスケッチすること!サイボーグである私たち、その友達であるクララ、双方の気持ちを想像しながら、受講生がスケッチを描いていきます。「どんな風にみんな暮らしていると思う?」「クララはどうやって日々学習しているんだろう?」「この世界には何か問題は起きているかな?」などなど、石田さんからはたくさんの問題提起が投げかけられ、受講生のイメージがどんどん駆り立てられているようでした。

次回の石田さんの授業で、それぞれの考えた「AFの気持ち」が反映された、どんなスケッチがお披露目されるのか、とても楽しみです!

 

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