REPORT

「東京芸術中学(第2期)」 第28回 田根剛さん


田根さんが手掛けた展示会で学ぶ
​​編集者・菅付雅信さんと13人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。11月26日は建築家の田根剛さんによる1回目の授業です。

今回はGAKUを飛び出し、田根さんが共同キュレーションを務めた企画展「How is Life? ー 地球と生きるためのデザイン」を開催中の建築とデザインの専門ギャラリー「TOTOギャラリー・間」にて開講。田根さんご自身にご紹介いただきながら展示作品を鑑賞し、田根さんとの会話を深めていきました。





社会に問題提起する姿勢に触れる
How is Life? ー 地球と生きるためのデザイン」は田根さんを含む3人の建築家と1人の建築史家がキュレーターを務める展覧会。「生産―消費―廃棄、その反復から抜け出して、成長なき繁栄を選ぶのならば、我々はどう生きるか?」(展覧会コンセプトより一部抜粋、中略)という問いに対する考えを建築や都市の視点から紹介しています。

会場には建築模型だけでなく、鍬などの農具、机や椅子などの家具、茅葺や大きな石など、一見「これって建築家の仕事?」と思ってしまうようなものまでもが並びます。しかし、今社会で起こっている様々な問題を解決する上で、それらが大きな手がかりになると田根さんは言います。これまでの芸中では触れる機会の少なかった建築というジャンル。それでも、展示1つ1つに対する田根さんの想いに触れ、生徒の皆さんも聞き入っている様子でした。


目の前にないものごとや人を想像する
全ての展示を周り終えたのち、車座になった会場で田根さんから「建築ってなんだと思いますか?」という問いが投げかけられます。少し間を置いて生徒の1人から挙がったのは「​​建物だけじゃなくて環境そのものをつくるのが建築なのかな?」という言葉。田根さんはそれに補足するように「僕たちの仕事は未来をつくることだと僕は思っています。ただ建物をつくるだけじゃない。​​目の前にはないものごと、いない人を想像して、そこからはじまる未来を創造する。そんな仕事だと思うんです」と想いを明かします。


建築家像を豊かにとらえる
建物を建てるだけではない、未来をつくるクリエーションとしての建築を体感していった今回の授業。田根さんの社会全体を見渡すその広い視野に、生徒のみなさんが圧倒されていた様子が印象的でした。田根さんによる2回目の授業は、会場をGAKUに戻しての開催となります。生徒のみなさんが、今回の体験をどのように受けとめて解釈していくかが試されていきそうです。

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