REPORT

「東京芸術中学(第2期)」 第15回 瀧本幹也さん


「グッときた」瞬間を届けるための工夫
編集者・菅付雅信さんと13人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。7月23日(土)は写真家の瀧本幹也さんによる2回目の授業です。

サントリー天然水をはじめ様々な広告写真を手がけられている瀧本さん。前回の授業では、ご自身の作品を実例に、その背景にどんな工夫が込められているのかを解説いただきました。生徒のみなさんへの課題は、「自分なりにグッとくるものの広告写真を撮ってくる」こと、「その写真を通して何を伝えたいのかを発表する」こと。今回は生徒の皆さんがその成果として写真作品をお披露目しつつ、被写体のどんなところに「グッときた」のか、自身の感性を伝えるためにどんな工夫をしたのかを発表していきました。





発表するのは広告写真とその裏側にある想い
昼下がりの公園で空中を飛ぶロックアイス。真っ白なベッドの上に置かれた、海が映し出されたiPad。箱に入ったままのG-SHOCK。歯を剥き出しながら威嚇するペットの「リリ」まで。生徒の方々が発表する広告写真は、その被写体も含めて様々。それぞれの身近な存在に改めて目を向けてみると、普段は意識しないからこその新たな発見があったそう。

「飲み物に入れるだけじゃなくて、ロックアイスでキャッチボールしたら涼しそうだなと思って!」「iPadを通してまだ見たことのない情報や価値観と次々に出会える。まるで海をどんどん潜っているような感覚だなと思ったんです」「初めて腕時計をもらった時、箱を開けた瞬間にとても嬉しかったことを思い出しました」。それらの「グッときた」感性を広告写真を通して伝えるために、それぞれが工夫を凝らしながら、なんども試行錯誤を繰り返しながら、撮影していったと言います。

課題として挙げていた「写真を通して何を伝えたいのか」を明確に、時にはユーモラスに説明する生徒の皆さんに対して、瀧本さんご自身も驚いた様子。前回の授業で「どんな仕事にも遊びをいれたいし、『種』のある写真っておもしろいですよね」と語ってくださっていた瀧本さんの姿と、今回発表している生徒のみなさんの姿には重なる部分があるようです。


誰でもいつでも写真を撮れる時代だからこそ
「誰でもいつでも写真を撮れるようになったこの時代。だからこそ、写真を通して何を伝えたいのか。まずそのことを捉えてからシャッターを切ることが大切。今回、皆さんはそれをしっかりと意識できていたことにビックリしました。今回の課題は、写真に限らずどんな表現においても応用が効くと思います」。最後に瀧本さんから贈られたコメントは、私たちが何気なく撮っている写真はもちろん、落書きや鼻歌ですらも一つの表現になりうる、そんな可能性も示してくれているように感じました。



まず必要なことは自分の感性を信じること
「グッとくる」自分の感性を信じること。それを伝えるという目的をもつこと。そのために工夫を凝らすこと。瀧本さんの授業を通してそんなクリエーションの在り方を捉えることができた生徒の皆さん。写真という表現、そして瀧本さん自身により興味を引かれ、「誰でも撮れるこの時代に写真全体の価値は下がっているんでしょうか?」「瀧本さんにとって写真は仕事ですか?それとも趣味ですか?今回とても楽しそうにお話されていたのでどんな気持ちなのか気になります」など質問が飛び交い、授業では瀧本さんとの更なる対話が次々と生まれていきました。

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