REPORT

「CO-CURATING」第8回 テキストワーク(キャプション①)


作品と言葉の関係性を吟味する「キャプション」
「CO-CURATING」はキュレーターの髙木遊さんと岩田智哉さんによる、キュレーションをテーマとしたクラス。アーティストの方々とも交流を重ねながら、全11回の授業を通して生徒全員で企画展を作り上げていきます。

実際の展覧会をケーススタディとして、キュレーションのあり方を学んでいった前回。8月13日(日)の第8回では、作品とそこに添える言葉の関係性を吟味しながら、鑑賞者に向けて言葉を綴る「キャプション」について学んでいきました。

 


多様なキャプションのあり方と振れ幅を実感する
「キャプションにはスタンダードな形はあれど、その書き方に決められたルールがあるわけではありません。前回の授業で鑑賞した展覧会『Sucker』のように、企画の内容や見せ方によってあえてキャプションをつけないこともあります。『どんな人に向けて何を伝えるべきか』は展覧会ごとに、作品ごとに違うはず。だからこそ、キャプションに書く内容とともに設置する場所やあり方そのものにも目を向ける必要があります」と、岩田さん。

実際に色々な展覧会のキャプションや作品を解説するための配布物であるハンドアウトを見ながら、様々なキャプションのあり方の振れ幅を実感していきました。

 


ウォーミングアップとしての、「架空のキャプション」制作
後半では、リファレンスを踏まえて実際に手を動かすことで、キャプション制作へ向けたウォーミングアップをしていきます。対象となったのは、授業の拠点としている「YAU STUDIO」の壁面に展示されていた写真作品。初めてみる作品を自分なりに解釈し、そこに添える「架空のキャプション」を作成することに挑戦しました。

「作品について詳しく書きすぎてしまうと、ただの描写になっちゃうし、解釈の押し付けにもなってしまうかも。それだと鑑賞者が自由に作品を見ることを楽しめなくなってしまうから適切ではない。でも、鑑賞者それぞれがこの作品を解釈するための導入になるようなものはあった方がいいと思う」「このアーティストがどんな人なのか、という説明があると面白いかもしれない。作り手のパーソナリティに触れられると、作品そのものについて説明しなくても、深く作品を読み込めるようになるかもしれない」「作品を見る前にキャプションがあるべきか、見た後にあるべきか。キャプションは『作品を見る前の導線に置かれているもの』という印象があったけど、作品に触れた後に『実はこんな作品』という説明がきた方が良いかもしれない」と生徒の皆さん。いざキャプションを書く立場になってみると、その大切さや難しさが身に染みていくようでした。

 


次回から、本格的なキャプション制作に取り組む
次回の授業までに生徒の皆さんに提示されたのは、企画展に出展いただきたいアーティストの作品について200字程度のキャプションを書いてくること。「作品を見て受け取れる情報ではなく、一見見落としちゃいそうだけど実は大切なこと、伝えるべきことはなんなのか。これまで積み重ねてきたリサーチや自分で書いたレターも振り返りつつ、限られた文字数の中で何を伝えるべきかをじっくり吟味してみましょう」と、これからキャプションに着手していく生徒の皆さんに向け、髙木さんからエールの言葉が贈られました。

(写真・執筆:佐藤海)

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