「新しい演劇のつくり方(第2期)」 第12回 演出・演技(稽古②)
演じながら演出案を考える
「新しい演劇のつくり方」は昨年度に続いて開講となる演劇のクラス。今年度は演劇カンパニー「チェルフィッチュ」を主宰し、このクラスの総合ディレクターを務める岡田利規さんによる『三月の5日間』を原作とし、中高生である生徒の皆さんが新たな演劇作品を戯曲からつくっていきます。
5月28日(日)の第12回は、前回に引き続き稽古を重ねながら、それぞれのシーンの演出案を検討していきます。
気にならなかったことがどんどん気になり始める
授業開始前からGAKUに集まり自主稽古を行う生徒の皆さん。本番まで二ヶ月を切り、稽古にもさらに熱が入っている様子。「まずはやってみよう」とお互いに声をかけ、それぞれ検討してきた演出案を参考に各シーンの稽古に取り掛かります。
実際に演じてみると、これまで気にならなかったことが、どんどん気になっていきます。論点というべきものが導き出されていきます。その都度、全員で話し合い、舞台上で演じてみて、また話し合い、その繰り返しの中で演出案を磨いていきます。その過程で新しいアイデアが生まれるシーンも。
例えば、「集団になって歩く状況に緊張感をもたせるにはどうしたらいいだろう?」「舞台の上をぐるぐるとみんなで歩いても、なんだか張り詰めた空気にならない」「みんなで観客席に向かい合いながらその場で足踏みをしたらどうだろう」と、目の付け所やそれに対する手立ても、どんどん繰り返し検討されていきます。不思議と「ああ、これだね!」と、納得するものに至ったり、自分たちの予想超える手応えを得られたり。簡単に言葉では表せないけれど、この作品で表現したいものがみんなのなかで重なっていったり明確になっていく様子には、演劇の集団創作としての面白みがあるように感じられます。
山田さんと一緒に演じる
俳優としてのキャリアも持つ講師の山田さん。今回はお休みの生徒の方の代役として稽古にも参加してくださいます。俳優の先輩としてのアドバイスはもちろん、まずは代役の立場からも、演出案の曖昧な部分を細かく確認。同じ俳優として山田さんと稽古をすることで、俳優のあり方にも触れながら、全体の演出案のディティールが明確になっていきました。
繰り返される稽古
2回の稽古を通じて演出案の全体像が見えてきた今回の授業。次回も引き続き演出をつけながらの稽古を行います。さらに、次回授業までにGAKUの自習室を使った自主稽古も行う予定。本番までの残り授業はあと3回となり、改めて気を引き締める生徒の皆さんの姿が頼もしく感じられました。