REPORT

「新しい演劇のつくり方(第2期)」 第11回 演出・演技(稽古①)


演出の検討を兼ねた稽古がスタート
「新しい演劇のつくり方」は昨年度に続いて開講となる演劇のクラス。今年度は演劇カンパニー「チェルフィッチュ」を主宰し、このクラスの総合ディレクターを務める岡田利規さんによる『三月の5日間』を原作とし、中高生である生徒の皆さんが新たな演劇作品を戯曲からつくっていきます。

5月14日(日)の第11回授業からは、講師の山田さんと共に、配役と舞台美術案を仮決定して稽古がスタート。シーンごとに実際に演じていくことを通して、それぞれの演出案を検討していきます。




演じながら演出案を深める
「そもそもどのタイミングで舞台に上がる?」から始まる、初めての稽古。どこに目線を向けるのか、どのように身体を動かすのか、どのようなトーンや抑揚で話すのか。それぞれが持ち寄った演出案を試しながら、俳優としての立ち居振る舞いを試していきます。シーンごとに話し合いの時間も設け、その都度、全員で演出案を練り直していきます。

例えば、小道具の扱い方ひとつをとっても議論は深まっていきます。「俳優が小道具を動かすのは不自然かも」という意見もありながら、実際に演じてみると「その不自然さが、僕の役の不自然な行動を引き立てている気がする」と演出案の検討が進んでいきます。山田さんからは「今の演出はコメディっぽくてクスッと笑えた。どう思う?」「この席からは向こうの俳優の顔が見えないんだよね。それもありかな?」と、客観的な視点からの問いも投げかけられ、新たな課題も明確になっていきます。



演出をすることの工夫と、しないことの工夫
「照明はいつ付ける?」「効果音はどうしよう?」「当日の衣装は何を着よう?」など。演出案の検討が進んでいくと、細かいところまで意識が向くようになり、議論もどんどんと具体性を帯びていきます。一方で、検討事項がたくさん浮かび上がれば上がるほど、大切にすべきものが何だったのかを見失いやすくもなっていきます。

授業の終盤には山田さんからは、「全てを演出で説明するのではなく、観客がそれぞれの想像を働かせるための余白を広げておくことが大切。次の稽古までにもう一度脚本を読み返してみよう」と、作品づくりを続けていく上での原点を振り返る気持ちを呼び起こすようなコメントが贈られました。


稽古を重ねる
生徒の皆さんそれぞれの作品への想いもさらに深まり、だからこそ意見をすり合わせたり対比させたりと、議論の時間が長く濃密なものになっていきます。次回の授業も引き続き演出をつけながらの稽古。それぞれのシーンの担当を決めて演出案を各自でも検討して、演出の最終化を目指していきます。

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