REPORT

越境文学サロン 第4回

詩が持つ奇跡
文学の越境性や私達自身の越境性に着目し、読書体験を深め広めていくことを目指すクラス「越境文学サロン」。 ターム2となる第4回目の授業では、詩のワークショップを実施。ゲスト講師に現代詩人家の四元康祐さんを迎え、詩と出会い、書くことにチャレンジすることで、詩という媒体が持つ魔法のような感覚を探っていきます。

詩はなぜ必要とされているのか
授業の冒頭では、「詩」という媒体について考えます。そもそも、詩とはどのようなものか。そして、現代においてなぜ詩は必要とされているのか。どんな人に必要とされているのか。「詩は伝えられないものを書くんです。本性がかえって滲み出てきてしまう感じですね。自分を表現するものではないんです」と四元さん。イギリス湖水地方で、詩人ウィリアム・ワーズワースの美術館を訪れた際に「コミュニケーションが加速され、1時間毎に情報が消費されている」という記述を見つけ、現代社会や特に都市生活との重なりを感じたと語ります。「詩には筋書きがなく、自然やものに言葉を憑依させたり降臨させたりすることができる。つまり、現代に欠けつつある繊細な感受性を復活できるはずなんです。それが詩人の仕事だと僕は思います」と話し、詩が持つ役割やその影響力を生徒の皆と共有していきます。対話を混ぜながらの講義では、生徒一人一人の言葉に真剣に耳を傾ける四元さんが印象的でした。

自分にしか書けない詩を書いてみる
授業の後半では、生徒の皆さんも詩を書いてみることに挑戦。15分という短い時間のなかで、それぞれペンを走らせます。赤鳥庵の中を自由に移動し、それぞれが心地よい居場所を見つけて執筆していきました。

その後、書き終えたところまでの発表を行い、四元さんからそれぞれにじっくりとフィードバックがされました。あまり上手く書けなかったと悩む生徒に「詩は、こうでありたいという気持ちからではなく、こうであるというところから生まれるものです。どんなにくだらないことでもいいので、あなたしか知らないことを書いてほしい。今ここにいるというリアルな感覚を大切にしてください」と声をかける四元さん。

さらに、「人は合理性や目的を追いがちな生き物ですが、生まれたばかりの赤ん坊や死にゆく立場から人生に向き合うと、そんなことはどうでもいいんです。詩は、その両側からの視点がせめぎ合うものなんですよ」と詩の魅力を語ります。「いくら真実でも単なるメッセージになってしまうとつまらない。それが詩の難しさであり面白さです。なるべく日常的で普段目にしているものを題材にしつつ、それが説明にならないように心がけてみてほしい」と生徒の皆さんにエールを贈りました。今回執筆した詩は、クラス後半で制作予定の作品集にも掲載されます。

執筆・撮影:松村ひなた