REPORT

「Shibuya Sports Academy 2022」第3回 スポーツを広報する


スポーツプロデューサーにおける「広報」という仕事
「Shibuya Sports Academy」は、スポーツにまつわるイベント企画を通して、そのシーンを学んでいく実践型のクラス。「スポーツプロデューサー」としての様々な知識や視点を学び、スポーツイベントやスポーツコンテンツを創りあげる一連の流れを、リアルな舞台で体験していきます。

10月21日(金)の第3回授業のテーマは「広報」。ゲスト講師は、オリンピックなど、国際的なスポーツの大会やファッションブランドのPRを努める鈴木はるみさん。これまでの活動をご紹介いただきながら、普段なかなか知ることのできない、スポーツの現場における広報やメディアの役割について学んでいきました。

 


「適切な情報を集めて届ける」ことの奥深さ
広報の目的とは、「ファンを作ること」だと鈴木さんは言います。そのために重要なのは「必要な情報を集め、届けていくこと」と「そのための環境を整えていくこと」だとも。言葉でいうととてもシンプルなことのように聞こえますが、それは大変なこと。そもそも届けるべき情報を見出すことにも創意工夫が求められます。例えば、元陸上競技選手であるウサイン・ボルト選手。世界記録保持者として超人的な側面ばかりが注目されていましたが、日本でのプロモーションを担当していた鈴木さんは、努力家であったりゲーム好きであったりする親しみやすい側面を届けたいと感じたそう。実際に、バラエティ番組に出演する機会をつくったりすることで、ボルト選手の人柄に共感を呼びました。また、鈴木さんがオリンピックが日本で開催された際に従事した「メディアオペレーション」というものにも着目します。オリンピックでは、4000人もの世界中のメディア関係者が訪れ、膨大な量の情報が行き交います。それらの情報を整理し、適切に届けていくこと。競技ごとの特性に合わせて、カメラの位置を含めて適切な環境を整えること。広報の奥が深くて幅の広い活動の実際の様子に触れていきました。

 


実際のスポーツイベントをケーススタディとして学ぶ
鈴木さんのお話を踏まえ後半では、実際のスポーツイベントをケーススタディに、広報について考えていきます。お題となったのは、15歳以下を対象としたストリートスポーツの大会「Next Generations Games」。「Shibuya Sports Academy」の関係者が多く携わっています。日本ではまだ少ないという10代向けのストリートスポーツの発表の場をどのように盛り上げていくか、みんなでアイデアを出し合いました。

「大会を通して、若いアスリートの人口をもっと増やしていけたらいいな。選手世代の人たちに『自分もやってみたい』と思ってもらえるように、大会前の告知だけではなく、大会後も競技中のかっこいい映像を集めてSNSで発信し続けるのはどうだろう」「若者世代のスポーツイベントのお客さんは、出場選手の家族や友人ばかりなことが多い気がする。もっと老若男女いろんな人に大会を観に来てもらい、観戦を楽しんでほしい。会場に飲食のブースを作ったり、屋外でも寒くないようにホッカイロを配ったり、快適に競技観戦ができるような環境を作るのはどうだろう」といった実感のこもったアイデアが発表されます。「それぞれ、『誰に向けてやるか』ということが明確になっていてとても良いと思いました。どういう人に伝えたいかによって、適切な情報の届け方や場の作り方は違う。ぜひそのことを現場でも体感してみてほしい」と、鈴木さんは一つひとつのアイデアに丁寧にフィードバックをくださいました。

 


次回は、スポーツプロデューサーという仕事の全体像を捉える
今回は広報のアイデアを考えるためのケーススタディとなった「Next Generations Games」。授業の約1ヶ月後の11月23日(水・祝)に開催を控えています。当日は、生徒の皆さんも「Shibuya Sports Academy」のチーフファシリテーターである上野さんとともに現場を訪れて、実際の現場で学んでいく実習を予定しています。次回の授業では、その実習のためにも「Next Generations Games」というイベントの成り立ちや企画や運営の進め方といったスポーツプロデューサーという仕事の全体像をつかんでいきます。

 

「Shibuya Sports Academy2022」クラスページはこちら