「我美と作美(第3期)」第3回 美しさと多様性
美意識を捉え直す
「我美と作美」は、メイクアップを通して新たな「美しさ」を表現するクラス。3期目となる今年度も、様々なジャンルのクリエイターが生み出す「美しさ」に触れながら学びつつ、10代の生徒の皆さんが、メイクアップを通して、これからの時代の美意識を生み出していきます。
個々人の美意識の原点に目を向けてきたり、時代によって移り変わる美意識について学んできたこれまでの授業。10月11日の第3回授業では、「ONE&ONLY」をモットーに活動するタレントエージェンシー「PUMP management」の皆さんを講師にお迎えし、自分自身の美意識を捉え直す機会となりました。
「ダサい」の一言で終わらせないその先にあるもの
ファッションモデルとしての活動におさまらず、画一的な美の価値観を揺さぶる様々な活動を展開するPUMP managementから、代表の加藤メイさん、所属タレントのKienさん、Sakuraさん、Minorさん、マネージャーの川島さん、服部さんが登壇してくださいます。
事前課題として「『ダサい』と感じるもの」を集めてきた生徒の皆さん。それはなぜか。その理由が冒頭に説明されます。「ダサいという言葉にずっと違和感がある」という加藤さんは、「別の誰かの美意識で見ればそれが『イケてる』に変わるかもしれないし、自分自身でじっくり考えて『イケてる』に変わることもある」と言います。「多様な視点があれば「ダサ」って一言で物事を断ち切ってしまう世界ではなくなるはず」だから、この授業はそのための練習でもあることが示されます。
条件反射の、その条件に縛られないために
生徒の皆さんが「ダサいと感じるもの」をもとに、タレントの皆さんもグループに混じってその感覚を吟味していきます。
例えば、紳士服屋。「それが置かれている環境が変われば感じ方も変わるはず」と、牧場を背景にしたコラージュをつくってみると「たしかに『イケてる』」と盛り上がります。また、とくに印象的だったのが、「過去の自分の作品がダサいと感じる」という声が多く挙がっていたこと。「自分自身が成長している証かもしれないよね」「この要素を足したり引いたりすると、その作品の良さが際立つのでは?」と、いろいろな角度からの会話が深まっていきました。
「ダサい」「イケてる」ということを条件反射的に反応をしてしまうことは、その旧来の価値観の条件に縛られているということでもあります。加藤さんの「従来のファッションモデルの世界の画一的な美意識が窮屈で、今の活動をしているところがあります。ポジティブな気持ちで、個々人のそのままを受け止められるような世界にしていきたいです」という言葉は、その条件から自由になっていくための姿勢であるように感じます。
美しさの表現のあり方を探る
次回はゲスト講師にkonomadのお二人をお迎え。ヘアメイク、ファッション、アート、写真、映像など、様々な要素を組み合わせることで新しい視覚表現を生み出すことの可能性に触れ、今回のクラスで臨む作品制作のイメージを掴んでいきます。