「(Non)Fictional Urbanism – まちの観察と実験 –」第4回 現象の観察
都市体験の「ものさし」を豊かにする
港区・新橋エリアを舞台にして、リアルな都市空間や建築デザインを学んでいく「(Non)Fictional Urbanism – まちの観察と実験 –」。建築家の海法圭さん、津川恵理さん、建築リサーチャーの川勝真一さんからなる「Town Play Studies」と、変わりつつあるまちの「観察」と理想の都市のあり方の「実験」を通して、これからの都市や街のあり方を考えていきます。
10月19日(木)の第4回授業のテーマは「現象の観察」。今回は授業の舞台を渋谷に移し、目に見えない都市の中に存在する現象を観察していきます。音や匂い、ものの硬さや明るさなど、普段なんとなく感じている存在についてセンサーを用いることで体感し、都市の現象を捉えていくための「ものさし」を豊かにしていきます。
現象に着目することで浮かび上がる場所性
題して「センシングビンゴ」。生徒の皆さんには、照度計、硬度計、騒音計、風速計、角度形、表面温度計、空気汚染測定器など、様々なセンサーと共にビンゴシートが渡され、それぞれの計度に示された数字でビンゴゲームを進めていきます。
「風が強い場所ってどこにあるんだろう?」「街中に柔らかいものってほとんどない!」「渋谷って思っていたよりも空気は汚くない!?」「渋谷の街は表面が冷たいものばかり」「同じ渋谷でも場所によって性質が全然違う!」「そもそもこういう視点で街をみてなかった!」など、センシングされた数値の大小や、センシングをするそもそもの要素からも、様々な発見があります。
捉えた現象の理由も捉える
音や匂い、ものの硬さや明るさなど、身の回りにある都市の現象を「ものさし」を通じて捉えていったフィールドワーク。GAKUに戻ってからのディスカッションでは、それらの現象の理由も同時に捉えていきます。
例えば、街中に固いものや冷たいものばかりある理由は、鉄やコンクリートを使うことで耐久性を上げたり、火災のリスクを下げるため。例えば、喫煙所の空気成分の数値は、分煙が進められることに納得するほどのものだったり。フィクショナルに空想を広げていった前回の授業とは対象的に、ビンゴゲームのような遊びを通して、都市像を豊かに捉えつつ、その成り立ちやリアリティにも意識を向けていく機会となりました。
次回からは新橋で実験
次回からは授業の舞台を新橋に戻し、これまでの新橋での観察を踏まえてあり得そうな未来と、あり得ないけどできたら良い未来の両面について構想していきます。グループに分かれてコンセプトや対象となる場所や要素を検討。その上で具体的にその場所のデザイン、過ごし方など、街のフィクショナルなシナリオについて考えていきます。