REPORT

関係美食論 第4回 フィールドワーク

東京の生産現場で学ぶ

「関係美食論」の教室は、馬喰横山のミシュラン1つ星レストラン「nôl」。シェフ 丹野貴士さんをメイン講師に迎え、東京という都市で育まれた地元の食材や生産者との出会いを通じて、美食を関係から捉え、「一汁三菜定食」という料理に落とし込んでいきます。

第4回の授業ではフィールドワークを実施しました。グループに分かれ、江戸川区で小松菜を生産している「門倉農園」と、国立市で米や野菜を生産している「西野農園」を訪れました。

生で食べられる小松菜の背景

門倉農園には、メイン講師である丹野シェフが生徒たちと共に見学に。門倉農園は、小松菜発祥の地、東京都江戸川区で小松菜の栽培をしています。東京都江戸川区は、東京湾に面しているため、海からの潮風が吹きミネラルを多く含んでおり、発祥の地ということで小松菜に適している土があるため、美味しい小松菜が育つ 環境が備わっているそうです。その環境の中、門倉農園は、代々受け継がれている独自の農法を大事にし、その中でも土づくりに拘っていると、生産者の門倉さんは語ります。1年を通して生産のサイクルを止めることがないよう、いくつかのビニールハウスに分けて生産をしていたり、農業を続けていくためにあえて農業以外のビジネスを手掛けていたりと、様々な「新しいかたちの農業」の工夫が見られ、そこに、生徒の皆さんもリアリティと切実さを混ざった希望を感じているようでした。

東京の風景と米作りの関係
国立市に位置する西野農園には、サポートシェフの堀中シェフと共に訪問。13代目として農園を運営する西野さんが最初に話してくださったのは、東京の水田が消滅に向かっていることです。「東京の水田風景を守りたい」と語る西野さんですが、都内の畑や水田の維持には多大な苦悩が付き纏います。必要な機材やビニールハウスなどの購入や維持に莫大な費用がかかること、西野さんが管理している水田から収穫されるお米を全て販売しても約20万円ほどの売上げしか見込めないこと、そして相続の関係で祖父の時代に比べ小学校の体育館4個分の大きさの水田を失ったことなど、その運営の厳しさに茫然としました。一方で、先祖代々続いてきた伝統や農地に対する誇りや、継承し続けたいという思いが、畑と向き合う糧になっていることもお話ししてくださいました。西野農園では、近隣企業やレストラン、ホテルとの提携や、「東京米サロン」との連携等、様々な取り組みを通して東京産の米を守り続けようと活動されています。

農と都市風景の関係、生産者と消費者とその間に立つ人たちとの関係など。今回のフィールドワークを通し、さまざまな関係が見えてきました。次回は、今回のフィールドワークをふりかえり、考察を深めていきます。

 

執筆:松村ひなた
撮影:佐藤海、松村ひなた