REPORT

新しい演劇のつくり方(第4期)第2回


散歩を通して、創作の起点を探る
GAKUが2020年より開講している演劇のクラス「新しい演劇のつくり方」。これまで3期の開講を通じて、多様な演劇の作り手の方々を講師に迎え、経験を問わず様々な10代が集まる機会を大切にしながら、まさに「新しい演劇のつくり方」を探求していきました。

講師に今野裕一郎さん(映画監督、演出家、「バストリオ」主宰)を迎えた今期。10月12日(日)、2回目の授業となる今回は、創作の起点となる一人ひとりの感覚を掴むための「散歩」。今野さんに加え、バストリオメンバーの黒木麻衣さん、そして演劇ジャーナリストの徳永京子さんも迎え、それぞれが気が向く方へ向かい、足並みを揃えたり、揃わなかったりしながら、「個人としての体験」と「みんなとしての体験」を往復していきます。




地図は持たずに歩いてみる、ことの実践
集合場所は野川のあるほとり。ここから上流まで遡り、とあるスペースに辿り着くことをゴールとしていましたが、とはいえ、ただゴールすることが「散歩」の目的ではないことを、今野さんは強調します。それぞれが寄り道気分を大切にすること。プロセスそのものをしっかりと味わうこと。今野さんは感覚について「今まで生きてきて身についた超個人的な知識と経験によって備わったもの」と言います。つまり、「散歩」は、これらの感覚に目を向けるということでもあり、それぞれの個人的な経験を大切にし合うということでもあります。そして、あらかじめ書かれた脚本から始めるのではない、今回のバストリオの「演劇のつくり方」と話が自然とつながっていきます(つながっていくための補助線となるような言葉が少しずつ置かれていきます)。

この付近が地元だという生徒の方がリードしながら川辺の散歩がスタート。モグラの巣を見つけたり、水の流れる音に耳を傾けたり、乾いた水路をよじ登ろうとしてみたり。同じ場所でもそれぞれの着眼が異なることが早速印象的。進むに連れて、川から大幅にそれた寄り道の提案も。樹齢600年以上の欅がある神社や、おすすめのお茶屋さん、飛行場などにも立ち寄りつつ、その道のりでも、丘の上や馬小屋など、それぞれに思わず立ち止まってしまう発見がそれぞれにあったようです。

なお、一人ひとりが心を動かされる瞬間を「写ルンです」で記録することに(今回のレポートの写真は、生徒が撮影したもので占められています。フィルム写真になるため、現像するまでは何が撮れているかわかりませんが、事後的に体験をふりかえる際には役に立ったそうです)。とはいえ、記録法もまちまち。写真を撮る以外にも、言葉でメモする、スケッチをする、音を録る、落ちていたものを拾うといった行為が生まれていました。









感覚を頼る
まっすぐ歩けば2時間弱という道のりを、最終的に歩いた時間はなんと7時間。生徒のみなさんも、あっという間とびっくり。今野さんは、演劇を登山になぞらえて、こう言います。「まず、地図は用意しないで始めます。めちゃ不安になるけどない方が楽しいからです。なんとなくこっち行こうかなと棒を投げて決めるような演劇です。そこにあるのは勘です。感覚が頼りです。」まさに、自分の感覚を研ぎ澄ませながら、歩いていく。それぞれが、その体験に没頭していたような気がします。

最終的に時間も迫りゴールには辿り着かず、ゴール手前の飛行場横の公園に到着。ここではあえて、まとめや発表の時間は設けられません。「せっかく生まれてきたのだから自分の感覚は大事にしたい」と今野さんが言うように、言葉になりづらい領域も大切にすることや誰かの共感をすぐに得ようとしなくて良いことなどが説明されます。散歩は、ゴールに着くためのものでも、発表をするためのものでもない。それは、生徒のみなさんにとっては珍しい捉え方だったようで、少しの驚きを持って受け止められていた様子もありましたが、同時に、不思議な安心感も漂います。たとえば、自作の歌を披露している人もいれば、隣の人の似顔絵を描いている人、疲労のあまり横になって眠ってしまう人といったように、その安心がリラックスとそれぞれの「素」が現れる環境へとつながっていたように思います。

【リフレクションノート】
このクラスでは、文章やイラストや写真など、形式を問わずに生徒の皆さんの持ち回りで順番にリフレクションノートを提供してもらうことに。それぞれの生きてきた経験。授業に参加して味わった体験。その体験が終わったあとの体験。さまざまな経験と体験が連なり重なりながら、このクラスが進んでいきます。

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10月12日 GAKU授業2回目 散歩

今日はGAKUの授業「新しい演劇の作り方」のクラス第二回目で、柴崎っていうところから川の源泉まで散歩した。川の名前は「野川」っていうちょーぜつ平凡な名前の川で、特に特徴も何もなかったけれど、面白いことはいっぱいあった。まず、野川ってやつは一級河川に認定されているらしい。『一級河川とは、河川法に基づき、国土交通大臣が指定した河川であり、国土保全や国民経済上特に重要な水系に属する河川を指します。』だそう。

『野川流域には横穴墓が見つかっている。川沿いには弥生時代から水田が開かれ、奈良時代には上流部に武蔵国分寺が作られた。』ふむふむ。なんか面白そう。って思ってはないけど書いておく。横穴墓っていうのは、『一般に台地や丘陵の斜面に高さ2メートル前後、奥行数メートルの洞窟=横穴を掘り、その中に人間を埋葬した墓のことである。』山にたくさん扉がついていて、原始的なマンションみたいな見た目をしている。ちなみに、横穴墓は見られなかった。そして、私たちは調布飛行場に行った。そこまでの道のりはなかなかに長くて濃ゆかったけど、一旦全スルーして飛行場に行くことにしよう。調布飛行場で飛行機が飛び立つところは目撃できなかったけど、目の前に飛行場が見える小高い丘に座って、各々好きなことをしてた。私は、あやめちゃんに曲を聴いてもらった。最近趣味で作ってる曲だが、すでに黒歴史と化してきている。あやめちゃんは不思議なお姉さんっていう感じの人で、何よりとても自分を持っている。私の周りの人たちがみんな流されやすいし、流行第一っていう感じの人ばかりだから新鮮で、自分を持っているからこそ、お世辞とか言わなそうなあやめちゃんに褒めてもらって久しぶりに心から嬉しかった。いきなりここで散歩道で印象に残ったことを書きだすことにする。

・お昼ご飯を、山の上で食べようってなって、山に登っている自分たちが面白過ぎてツボにはまった。
・浜辺にある、津波が来ても大丈夫なように高床式にしてある家があったこと
・飾りみたいな花みたいな松ぼっくりみたいな植物?をみつけたこと
・オアシスみたいな場所を見つけたこと
・北欧がヨーロッパだと初めて知ったこと(アメリカだと思ってた)
・川辺から上がって、小道を行っているとき、小道にある家に住んでるおじさんに何してるのーって聞かれたこと
・そんなに大人数でもないのに3回に分かれて信号を渡ったこと(マイペース過ぎる)
・バナナの木
・深大寺が激混みだったこと
・ちょうちょがいっぱいいて、写真を撮ろうとしたら3匹くらいになったこと
・モグラの穴があったこと
・べこべこになり過ぎて缶みたいになっている水筒
・傘の取っ手を持ってるなつき氏
・面白い道案内(あっち・こっちって書いてあった)
・鳩の群れに入りたそうなカラス
・恐らく8人くらい用のテーブルと椅子に13人くらいで座ったこと
・病院の隣に馬小屋があったこと
・バディを作ったこと
・みんなで本を紹介し合ったこと

まあ、このくらいにしておこう。足が疲れた。

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