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「東京芸術中学」第24回 平野啓一郎さん(後半)

編集者・菅付雅信さんと15人の世界的クリエイターによる、「本物のクリエイティヴ」に出会うアートスクール『東京芸術中学』。2021年2月27日(土)は、小説家の平野啓一郎さんによる2回目の授業!平野さんや生徒の皆さんの自宅とGAKUを繋げて開講しました。

平野さんにとって文学とはなんなのか、平野さんは小説をどうやって書いているのか、そんなテーマについて講義が行われた前回の授業。「小説という嘘の世界の中で、正直でいることかが大事です。普段は言えないことも、登場人物を介して表現できる。」とのコメントが印象的でした。そんな前回の課題として、生徒の皆さんは小説の執筆にチャレンジ!空を泳ぐイルカと出会ったり、終電後のホームに現れる不思議な電車に乗り込んだり、酸素を生み出すマシンを発明したり、ただただ「Aボタン」を押すだけのアルバイトを見つけたり。テーマから、登場人物、時代背景まで、みなさん様々です。

今回の授業では、平野さんから生徒の皆さんへ、それぞれの課題作品についてのインタビューを行うことに!平野さんご自身、インタビューに答えていくうちに、自分の作品への理解が深まってくると言います。「興味深く拝読させていただきました。早速ですが、、、」新聞記者に扮した平野さんのこんな一言からインタビューがスタートです。

「男性の主人公と女性のご自身、共通点はありますか?」「イルカには何か比喩が込められているんですか?」「登場人物はどこの国の言葉を話しているんでしょう?」平野さんの問いかけに、生徒の皆さんが一つ一つ答えていきます。「では、その比喩は一体何を示しているんですか?」「セリフは普段の会話を再現しなくていいんです。」そのあとは、平野さんからさらに質問が重ねられたり、具体的な助言をいただいたり。対話が深まっていくにつれ、新たな疑問も発見も生まれ、生徒の皆さんの間でも質問や感想が飛び交っていきました。

「みなさんそれぞれの関心に沿った作品に感心しました。ぜひ書き続けてみてください。今日発見したアイディアを試すのが、次の創作の喜びになる。その喜びがさらに次の創作に繋がっていく。そして、書いていくたびに、自分だけのルールができあがっていく。それが、予め決められたルールのない、小説、そして芸術そのものの面白さなんです。」(事務局の意訳です)授業の最後は、平野さんからこんなコメントが。

「僕自身、小説を書こうとしても最後まで書くことが一度もできなかった。皆さんがこんなに短期間で一つの物語を書き上げたことは、自信を持てることだと思います。こうやって言葉のイメージを膨らませることは、クリエイティヴにおいて、これからもとても大切。ぜひこれからも挑戦してみよう!」菅付さんからのエールで、昨日は締めくくっていただきました。

自分だけの興味や関心に向き合い、書き上げられた生徒の皆さんのオリジナル小説。そんな新鮮な作品に惹きつけられたと同時に、これからも続く様々な芸中の課題発表の中で、平野さんのおっしゃる「自分だけのルール」を、生徒の皆さんはどんな風につくりあげていくんだろう?とワクワクした、そんな授業となりました!

 

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