REPORT

「CO-CURATING」第5回 テキストワーク(レター①)

それぞれのコンセプトを「レター」に落とし込む
「CO-CURATING」はキュレーターの髙木遊さんと岩田智哉さんによる、キュレーションをテーマとしたクラス。アーティストの方々とも交流を重ねながら、全11回の授業を通して生徒全員で企画展を作り上げていきます。

個々のリサーチ結果や考察を共有し合いながら、企画展のコンセプトやアーティストへの理解を深めていった前回。6月18日(日)の第5回では、それらの成果を念頭に置きながら、企画展の会場となる場所を訪れ、展示のイメージを広げていきました。また生徒の皆さんそれぞれが自分の考えを言葉にしていく「テキストワーク」に取り組みながら、出展いただきたいアーティストへ向けたレター(展示参加の依頼文書)にも着手していきました。

 

場所にインスピレーションを受けながら、企画のイメージを広げる
今回からは実際の企画展の舞台となる有楽町で授業を実施していきます。拠点となるのは、有楽町で様々なアーティストやクリエイターの創作の場として使われている「YAU STUDIO」。

これまでの授業を通して思い描いてきた展示のイメージと実際の空間を照らし合わせて企画をブラッシュアップしていくために、今回は実際に企画展の開催会場となる場所を訪れました。

企画展の会場となるのは、元々オフィスとして使われていた空間。実際の場所に身を置いてみることで、色々なインスピレーションが浮かんでいきます。例えば、「大きい作品を置いて、それを遠くからぼんやり眺められるような空間を作りたい。そうしたら、このスペースがちょうどいいかも」「この作品は自然光にとてもよく合う気がするから、窓がたくさんあるこの部屋がいいんじゃないか」「とても特徴的な空間だから、展覧会全体のキュレーション、見え方をもっと考えてみたい。展覧会を通して、来場者の人たちへどんなアプローチができるだろうか」と生徒の皆さん。会場全体を歩き回ることで、個々の作品の見せ方とともに、企画展全体としての鑑賞体験にも意識が向いていく様子が印象的でした。

 

想いを徹底的に表すことと、歴史や文脈を冷静に紐解くこと
現地を訪れることで企画のイメージを深めていった生徒の皆さん。その上で、それぞれが自分の考えを言葉にし、実際にアーティストの方々へ伝えていくためのレター(展示参加の依頼文書)に着手していきます。

「ある意味でいうとラブレターのようなもの。こういうところが好き、強く惹かれるといった自分の想いを徹底的に表すことがまず大切」と、高木さん。それを前提に「主観的な強い気持ちも大事にしつつ、そのアーティストの方や作品がどのような歴史や文脈のなかにあるのか?というところを冷静に解読していく姿勢も大切」ということも強調されます。なぜなら、企画展をつくるにあたって「そのアーティストの方と、今回の企画展のテーマがどのように関連するのか?というところを自分自身で表現すること」がしっかりとなされていなければ「作家の方にとって自分の一部でもあるような作品を提供する必然性がわからない」から。

実例として、実際に髙木さんがキュレーターとしてアーティストの方へ送ったレターやその背景を紹介。自分自身の強い気持ちに根ざしながらも、それがしっかりと企画へと結びついていることが分かり、これから作成するレターが持つ重みを実感します。「これまでのリサーチも参考にしつつ、自分の素直な言葉を紡いでみよう」と、授業そのものはリラックスした雰囲気でありつつも、独特な緊張感が走ります。

 

次回までに、個々に「レター」を書き上げる
次回の授業までにレターを書き上げてくることが生徒の皆さんの宿題に。実際にアーティストの方にお送りすることをリアルに想像することで、ちょっとした言葉遣いにまでこだわり抜いたり、自分の考察の至らなさに気がついてリサーチにより時間をかけたりと、テキストワークを通して、より深く企画展示について考える機会になっているようです。

 

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