REPORT

新しい演劇のつくり方(第4期)第1回


第4期がスタート
GAKUが2020年より開講している演劇のクラス「新しい演劇のつくり方」。多様な演劇の作り手の方々を講師に迎え、演劇経験を問わず様々な10代が集まる機会を大切にしながら、まさに「新しい演劇のつくり方」を探求していきました。

第4期の初回となる9月28日(日)。生徒の皆さんとともに、このクラスの総合ディレクターを務める岡田利規さん(演劇作家、小説家、「チェルフィッチュ」主宰)、同じくアドバイザーを務める徳永京子さん(演劇ジャーナリスト)、そして新たに講師としてお迎えした今野裕一郎さん(映画監督、演出家、「バストリオ」主宰)とバストリオメンバーの橋本和加子さん、黒木麻衣さん、本藤美咲さんが一同に会します。このクラスを、いまなお、なぜ続けているのか。関わる創り手にとっての演劇や教育観はどのようなものか。なにより生徒の皆さんの期待感はどのようなものか。「新しい演劇のつくり方」と大胆に題したこのクラスへのそれぞれの考えや想いを確認し合う時間となりました。


「地図を持たずに歩いてみる」というように演劇をつくる
「みなさんは新しい演劇を、新しさを意識することなしにつくり出すでしょう。なぜなら、みなさんが新しいからです」と岡田さんはこのクラスに言葉を寄せてくれています。意識せずに、そのままに新しい。まさに、「そのままであること」から立ち上がる演劇があるように思います。そして、そう思わせてくれたのが、今野さん率いるバストリオの作品でした。

今野さんはクラスに寄せて、「演劇を登山だと考えて書いてみます。まず、地図は用意しないで始めます。めちゃ不安になるけどない方が楽しいからです。なんとなくこっち行こうかなと棒を投げて決めるような演劇です。そこにあるのは勘です。感覚が頼りです。(中略)じゃあ、他人の感覚はどうだろう、大事にできるかな、そこが踏ん張りどころです。演劇は誰かとやるからです。なんとか誰かと歩いてみたらそこに地図ができてます」と言います。地図、つまりはあらかじめ書かれた脚本ではなく、一人ひとりの感覚を起点に創作をはじめていくこと。それが、このクラスで模索されていくことになります。




演劇に他者は欠かせない
岡田さんからの応募動機に関する生徒のみなさんへの問いかけに対して、「即興表現を求められた過去の集団創作で感じたトラウマを克服したい」「これまで自分の気持ちをちゃんと表せた気がしない。それができるようになりたい」「人と一緒に時間を過ごしたいから、演劇が好き」など、それぞれの想いが語られます。それらに対して、岡田さんがふと口にした「演劇に可能性を感じている」という言葉に、生徒のみなさんも反応し、詳しい見解を求めます。「演劇のポテンシャルは観客との関係の仕方にある」とのことで、「演劇は創り手だけで完結する世界ではなく、受け手を含めたものであり、受け手のイマジネーションによって立ち上がる」と言います。

このクラスでは、最終的には作品を上演することを重要な要素として捉えています。また、今期のクラスの企画を考えるにあたって、今野さんも観客という「他者」の重要性について繰り返し述べられていたことと重なっていきます。




一人ひとりの感覚をまず探る
言われてみると当たり前。でも、ハッとさせられるフレーズというものがあります。たとえば、今野さんの「自分が書いたから自分の作品になるというわけでもない。自分が良いと思えて、初めて自分の作品になると思っています」というコメントもそう。逆に考えると、本当は自分が良いと思っていないのに良しとしてしまうことはないか?という問いとして受け止められますし、「良い」という感覚もとても曖昧なこととして響いてきます。だからこそ、一人ひとりの感覚を大切にして欲しい。そのために、まずは「散歩」をしたい。一見、演劇創作と全く関係がなさそうなこのクラスの「散歩」という活動ですが、関係が無いわけではないということが少しずつ伺い知れていく気にもなってきます。

「自分たちの作品は演劇じゃないと言われたこともあります。その意味では、自分たちの作品は演劇かどうかわからない。けど、少なくともバストリオを通じて人と出会うことや集まることは、自分が生きていくうえで役に立っています」と言う今野さん。話に耳を傾けていると、より良く生きるということが、ほとんどそのまま演劇というものと接続されているようでもあります。

次回授業は、今野さんと生徒の皆さんで「散歩」に出向きます。「散歩」と演劇は重なるのか?重ならないのか?そういった問いをまずは横において、何か新しいことが始まる予感を皆さん感じている様子。例えば、地元を散歩したいという生徒からの提案もあり、行き先は今野さんも思い入れのあると言う野川周辺に決定。集合時間や場所などを確認し、初回授業を終えました。

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