「ものがたりとものづくり」 作品展示会を開催します
2022年12月から2023年4月まで開催されたプロダクトデザインのクラス「ものがたりとものづくり」。講師にはプロダクトデザイナーの岩元航大さんを迎え、授業前半にはGAKUでのエスキス制作、授業後半には岩元さんの主宰するデザインスタジオ「スタジオ発光体」での模型制作を行いました。そのようなプロセスを経て7名の生徒が考えたアイデアが、カリモク家具によって実物大のプロトタイプとして実制作されます。今回の展示では、それらの作品が「Karimoku Commons Tokyo」に一同に会する他、生徒の皆さんが、人と木の関係を学びつつ自身の暮らしや興味関心を探究し、プロダクトデザインに落とし込んでいった一連のプロセスもご紹介致します。
開催概要
日時:2023年7月26日(水)~8月3日(木)12:00〜18:00
会場:Karimoku Commons Tokyo(東京都港区西麻布2丁目22-5)
料金: 入場無料
作品例
「ハニーディッパー」
樹液を採取された後に残る漆の木。伐採後1~2年間山中に置くと材として使えるようになりますが、漆掻き職人や土地所有者による薪としての利用にとどまっていました。カリモク家具では思いに共感いただいた漆生産組合から原木を購入し現地で製材。その木材を「ハニーディッパー」に加工することで、利用されるたびに再び潤いを取り戻していきます。
「ホイッスル」
地域で大切にされていた、北海道厚真町の栗の木。2018年に胆振東部地震の起きた地域の材であることから、災害時にも役立つことができるホイッスルとして活用していきます。(実際にプロトタイプ段階から笛として音が出る状態ですが、実用性に耐えうる音量にするために試行錯誤が続いています。)
「貯金箱」
今回用いるのは、東京都西部の山で森の若返りのために伐採されたオーク。オークは、世界中の神話にも登場し、人々にインスピレーションを与えてきました。「木言葉」では、独立・不屈の精神といった意味があり、制作者である10代がこれからの自身の人生のあるべき姿と重ね合わせて制作しました。
「キャンプ用食器」
その大きさゆえ、加工できる機械や需要が少なく、利用が課題になっている杉の大径木。キャンプが好きな10代が、杉の殺菌力に着目し、プラスチック製品に代わるキャンプ用の食器として制作しました。
※展示会場では、全8点の作品が展示されます。
クラスについて
素材に込められたものがたりを、ものづくりを通して紡いでいく。
サステナビリティに関する課題が逼迫している今日。作りたいものが先にあり、そこに素材を当て込んでいく手法を少し横においておいて、今ある素材に宿る物語に触れ、プロダクトとして形づくっていく、そんなこれからの時代のものづくりのあり方を考えていきます。
今回着目するのは「木」。長い間街路樹として親しまれていた木、その木ならではの個性が強いゆえに用材へ使われる機会の少ない木。一般的なプロダクトにはなりづらくとも、まさにものがたりを宿している木が数多く存在しています。カリモク家具は家具会社でありながら、製品を作るという目的を超えて様々な種類の木材を収集し、そこにあるものがたりの一つ一つも含め、保管する活動を続けています。今回の授業では、そんなカリモク家具が保管する木材のものがたりを題材にプロダクトをイメージし、実際に工房で手を動かして試作し、手と頭で試行錯誤しながら、プロダクトデザインを行います。
名称:ものがたりとものづくり
実施期間:2022年12月上旬〜2023年4月下旬
会場:GAKU(東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 9階)/スタジオ発光体(東京都八王子市元横山町 2丁目7−17)/カリモク家具 東浦カリモク本社工場及び知多カリモク
対象:10代
主宰:GAKU
講師:岩元航大(プロダクトデザイナー)
協力:カリモク家具株式会社