REPORT

越境文学サロン 第5回

課題図書は夏目漱石『道草』
文学の越境性や私達自身の越境性に着目し、読書体験を深め広めていくことを目指すクラス「越境文学サロン」。 ターム3となる第5回、第6回目の授業では、夏目漱石の『道草』を課題図書として読み進めます。イギリスに留学した夏目漱石は国を跨る作家の苦労を知った最初の日本人作家の一人です。『道草』は漱石の越境性を最も色濃く反映した作品で、イギリス留学後の自身の経験をもとに、異文化との出会いによる葛藤や、日本社会への違和感を描いています。

「みんなで読む」ということの可能性
漱石の作品は読み進めることがなかなか難しかったようで、完読率はごく僅か。一方で、「みんなで読む」ということの可能性をここでは拓いていきます。まずは生徒それぞれに『道草』の感想を聞いていきます。登場人物たちに対して抱いた疑心や疑問、時代背景への着眼、そして物語で描写された揺れ動く感情への共感性など、生徒たちから様々な視点が共有されました。これに対し、講師のアレクサンドラさんは、「ワンワードで物語を表すなら何になる?」「なぜこのキャラクターはこんなに偏屈になってしまったんだと思う?」などと問いかけを重ね、生徒たちの感想や想いを見出していきました。

次回までの完読を目指して
次回の授業でも引き続き、『道草』を読み解いていきます。次回は、漱石が物語のなかに織り込んだ「越境性」に目を向け、人物たちが揺れ動く境界や、その内側に潜む問いを辿っていきます。