REPORT

「我美と作美(第2期)」 第1回 美しさの個人史


メイクアップを通して、新たな「美しさ」を表現する
「我美と作美」は、メイクアップを通して新たな「美しさ」を表現するクラス。昨年度に引き続き開講する今回も、様々なジャンルのクリエイターが生み出す「美しさ」に触れながら学びつつ、10代の生徒の皆さんが、メイクアップを通して、これからの時代の美意識を自ら生み出していきます。

10月11日の初回授業では、メイン講師であるヘアメイクアップアーティストの計良宏文さん、ゲスト講師としてGAKUディレクターでもありファッションデザイナーの山縣良和さんをお迎え。講師のお二人、生徒の皆さんそれぞれの興味関心のルーツをみつめながら、ヘアメイクアップの世界の奥深さを学んでいきました。





自分が手にしている美意識を捉える
「このクラスではメイクアップを通じて新たな美しさを表現することを目指します。まず今日は自分が今持っている美意識を捉えることがゴールです」。そんな計良さんの一言からスタートした今回。計良さん、生徒の皆さんそれぞれが「美しい」と感じるものを集め、自己紹介がわりに発表していきます。

光、水、空、砂漠、アイドル、アジアのモデル、森ガール、シルバーアクセサリー、オリジナルのダメージジーンズ、バレリーナの衣装、日本画、日本古来の口紅、現代創作人形、色、数学、無限、夜の街の匂いなど。生徒の皆さんが発表する内容は様々。まだ触れたことのない様々な美意識と邂逅しながら、自分の持つ美意識が唯一無二であることを捉えていきます。



美意識の変遷と古層を捉える
生徒の皆さんの中の多種多様な美意識を捉えたのち、計良さんからはクレオパトラを描いた壁画から歌川広重や菱川師宣による浮世絵、竹久夢二のイラスト、そして現代の絵画まで、様々な時代における「美人画」が紹介されます。「昔の美人画と今の美人画に描かれる人は全く異なります。未来の美人画もきっと全く別物になっていくはずです」。そんな計良さんのコメントとともに、社会全体の美意識が時代と共に変化を続けている事実を捉えていきます。

続いてファッションデザイナーの山縣さんは、ファッションとそれに紐づくメイクアップの世界史を解説。毛皮から始まる人間の装いの歴史をさらうと、7万5千年前から人々は顔に色を塗り、メイクをしていたことがわかるそう。「なぜ人はこれほどに装うのか。それは『私』という存在に私たち自身は永遠にたどり着けないから。だからこそ、『私ってなんだろう?』という問いを起点に様々な装いが生まれ続け、メイクアップも美意識も同時に変化し続けているんです」と山縣さん。社会全体の美意識が時代と共に変化する背景には、人々が自身に投げかけるとても大きな問いがあることがわかりました。



新たな「美しさ」をつくるために
計良さんからは「今回の講義を通して、自分とは違う美意識に出会えたと思います。それが自分の美意識を新たに拡げてくれる。次回以降の授業でもその出会いを楽しみにしてください」と、山縣さんからは「『自分の美意識はどこからやってきたんだろう?』。このことをこのクラスを通して紐解いていってほしいです」と、全11回の指標となるようなコメントが生徒の皆さんに贈られました。


美意識と社会の関係性を見つめる
次回はゲスト講師にメディア環境学者の久保友香さんをお迎え。「美しさと社会」というテーマを掲げ、社会や歴史によって変わる美の基準を体験しながら学び、美意識の移り変わりについてさらに深堀りしていきます。

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