REPORT

「我美と作美」第5回 制作


自分が欲しい自分を飾るものをつくる
これからの時代の美意識をつくっていく10代が、メイクアップを通して自分らしい「美」の表現や発信に挑戦する「我美と作美」。3月2日は、詩人の谷川俊太郎さんとの絵本製作やコム デ ギャルソンの2018年パリコレクションにて使用された恐竜のヘッドピース制作など、幅広い活動を進められている絵描きの下田昌克さんをお迎えし、第5回授業を開講しました。

時代や社会によって影響を受ける「美しさ」の変遷を学びながら、個々の美意識と向き合ってきたこれまでの授業。今回は、「自分自身が欲しいと思える、自分を飾るもの」をつくることを通して、最終課題テーマである「新しい自分」とは何か、それを考えながら具体的な表現方法も試行錯誤していく時間となりました。





手を動かそう、楽しいから
まずは下田さんから、これまで手掛けてきた作品を実物と共に紹介していただきます。世界各国を巡って描いた似顔絵やご自身の絵本。恐竜展からの帰宅後に欲しくなって制作したという、絵を描くキャンバスの布を使用した恐竜のヘッドピース。さらには生徒の皆さんと同じテーマで実際に制作してくださった、端切れを重ねて縫製したシャツなど。実際に作品をまといながらの解説に、「身に着けるって、絵にはない興奮がある」ということが伝わってきます。

「上手下手は関係ない、それは力技でなんとかなる。そうじゃなくて、自分が何を作りたいのか、何が好きか、何を見たときに鳥肌が立つか。そういうことを大切にしてもらいたいと思います。手を動かそう、楽しいから」と、下田さんの言葉を合図に、生徒の皆さんも制作の時間が始まりました。




「昔から空を飛びたかったんです」「スーパーヒーローみたいになりたい」「人からよく見られるメイクじゃない、自分の好きなキラキラが詰まったメイクを考えたい」など、事前に考えてきたそれぞれのテーマに色や形を与えていきます。下田さんは、生徒と一緒に考え込んだり、時にはペンを手にスケッチをしながらアドバイスをしたり、GAKUの教室中を歩き回って、とてもエネルギッシュ。「昆虫などのモチーフがあるとしたら、その実物を見た方がいい」「自分のために作られたようなものが欲しかったりするじゃない?だから、『みんなが好き』じゃなくて、誰かにズドーンと刺さるような、好きと嫌いの幅が広いものの方が心に残ったり面白かったりするかもね」など、個々に声をかけていきながら、「これで君が知りたいことの話ができたかな」「あくまでも一つの参考にしてね」と、生徒の皆さんの気持ちに寄り添う姿勢がとても印象的。そんなパワフルさと優しさを兼ね備えている雰囲気だからか、一人ひとりが下田さんに製作途中に相談しに行く風景が多く見られます。




10代のうちに、興味のあることを自分に取り入れて生きる
「昔、『感性はあとからついてくるから技術を伸ばせ』と言われたけれど、全然納得できなかったの。かっこよくありたいという気持ちは大切。10代の頃に好きだったものや聴いていた音楽、読んだ本の感性で今も仕事をしている。それって、大人になってからは意外とできない。だからちょっとでも自分が興味のあることは、自分に取り入れて生きていかないとね、いつでもできることじゃないから」と下田さん。最後に、生徒の皆さん全員の似顔絵を描いてくださり、それが一人ひとりへのエールのようでした。




次回はいよいよ、発表・講評回です
「新しい自分」をつくるという、最終課題の制作イメージをつけつつある今回。次回は初回講師の計良さん、山縣さんを再びお迎えし、いよいよ発表・講評を行います。生徒の皆さんは、一体どんな「新しい自分」像を纏って登場してくれるのでしょうか。3ヶ月間の、美意識の変化が見られる機会となりそうです。

 

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