REPORT

「我美と作美」第3回 美と多様性


作品の原点となる「我美」を深める
これからの時代の美意識をつくっていく10代が、メイクアップを通して自分らしい「美」の表現や発信に挑戦する「我美と作美」。2月2日は、第3回授業を開講しました。

時代や社会によって影響を受ける「美しさ」の変遷から、美の多様なあり方を学んできたこれまでの授業。今回は、メイクアップアーティストでもあり僧侶でもある西村宏堂さんをお迎えし、対話を通して生徒の皆さんの個々の美意識と向き合い、これからの作品制作に向けて大切にすべきことを確認していきました。





対話を通して自他の美意識を浮かび上がらせる
事前宿題は、「わたしが提案したい美しさ」をテーマに自由に作品を制作してくるというもの。あわせて投げかけていただいた問いは次のようなものでした。「あなたが社会でよく見る『美しさ』の中で、おかしい・問題だと思う点はありますか?」「あなたが美しいと思うけれど、人に言いづらいと思うものはありますか?」「あなたは芸術を通して、何を表現したいですか?」。

まずは、生徒の皆さんとともに輪になって、西村さんの問いかけに対してそれぞれが答えていきます。「それはつまりこういうこと?」「もう一度聞かせてもらってもいいですか?」「話してくれてありがとうございます」など、丁寧に一人ひとりの言葉の奥にある想いや意図を汲み取りながら、対話が重なっていきます。また、生徒の皆さんに投げかけた問いに対して、幼少期や留学中のエピソードを踏まえた西村さんご自身のお話も。「おかしいなと思うことを提案したり、本当は自分が美しいと思っているものを世の中に発信すること。その勇気を、皆んなで守り合って応援し合えることが必要じゃないかなって思うんです」とおっしゃるとおり、本音を披露する際の緊張感もありつつ、背中を押してもらえるような温かな雰囲気で授業が進んでいきました。






社会に提案したい美しさ
授業の後半では、「わたしが提案したい美しさ」というテーマで事前に制作してきた作品を発表していきます。他の生徒の作品から「どんな美しさを感じたのか」という感想を起点に、「どんな美しさを提案したかったのか」そして「なぜその美しさを提案をしようと思ったか」など、作品を通して様々なやり取りが生まれます。中には、「身の回りの人から自分の美意識を反対されることがある」という声も。


変化を起こしていくための勇気を持つこと
「今までの流れを変えた人、逆らって何か新しいものを提案した人たちが歴史に残っていると思います。私は違う変化をもたらす人でいたいと思うし、否定されているからこそ、いろんなことを勉強していいものを作ろうというモチベーションにしている。その時の心境は、いいものを作る魔法の材料なんじゃないかな」という言葉も西村さんから生徒の皆さんへ贈られました。また、「今回の授業を通して、本当に大切にしたかったことが見つかった気がする。でもだからこそ、それをヘアメイクアップで表現できるかどうかがわからない」という葛藤も生徒の皆さんの中には見られましたが、その葛藤こそがクリエーションの原点になっていくという気づきもありながら、西村さんの「心から応援している」という言葉にまさに勇気づけられているようでもありました。

次回はGAKUを飛び出し、実際にヘアメイクの基礎を学びます
次回は「我美と作美」のメイン講師である、資生堂トップヘアメイクアップアーティストの計良宏文さんが再びご登壇。計良さんが校長を務めるヘアメイクスクール「SABFA」にて、出張授業を行います。クリエーションの現場の空気感や計良さんの技術を間近に感じながら、「ヘアメイクの基礎技術」や色彩理論を学んでいきます。これから始まる最終課題の制作のためにも、表現したいものを形にするための技術を身に着けていきます。

 

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