REPORT

「Town Play Studies」テストプレイ第2回

GAKUで9月より開講する都市と建築のクラス「Town Play Studies」のワークショップ “テストプレイ” の第2回『歩行練習(Exercices de marche)』を開催しました。講師は「Town Play Studies」を開講する建築家の海法圭さん、川勝真一さん、津川恵理さんです。

 

移動するためだけの道路を、いろいろなことができる空間に読み替えてみよう。みんなが歩くその道で遊んでみたら、どんな発見があるだろう?なにを感じるだろう?

道は歩き方でどんな場所にでもなっていく。

渋谷PARCOの中央を貫通するナカシブ通りを舞台に「テストプレイ」がスタートしました。

 

1:道路のレクチャーを受けよう

道路の定義や道路にまつわる法律についてみんなで学びました。道路で禁止されている行為はなんだろう。幅8mの歩行者専用通路であるナカシブ通りはどのように生まれたのか。さらに、津川恵理さんがアメリカと神戸で行った都市実験についてもレクチャーがありました。

 

2:いろんな方法で歩いてみよう

背景を学んだところで、ナカシブ通りに繰り出して、実際に歩行練習をスタート。

タイルの境目をなぞったり、手すりを利用したり、周囲の歩行者を避けてみたり。普段は見ないところまで道路の様子を観察して、それぞれの感性で、多種多様な歩き方が生み出されていきます。

 

3:歩行を記録しよう

 

歩行を録画した動画を2倍速で振り返りながら、歩行練習シートに自分の歩き方を記録し、歩行を自分なりに表現していきます。その後、感じたことや気づいたことを話し合っていきました。

「携帯を見ながら通り過ぎるようなただの道路も遊び場になることを実感した。」
「周囲の人は通り過ぎていくだけだからあんまり視線が気にならなかった。」
「こういう人がいたら?という他者への想像力を持つきっかけになるかも。」
「普通に歩いている人も、急に歩行練習をしている人に見える瞬間があって不思議だった。」
「歩行を楽しむことは、まちの過ごし方を楽しくする第一歩目になる気がした。」

道路の舗装や他人との距離感といった目に見える世界から、自分の気持ちのありようや他者への想像力まで幅広い考察になりました。さらには、動きのメリハリがある方が面白さが増すとか、もっと自分を開放できたかもなど表現に繋がる話にも発展しました。

 

4:歩行に名前をつけてアーカイブしよう

それぞれの歩行練習のうち、最も特徴的と思う瞬間を画像に書き出して名前を付けてみました。道路が移動だけではなく、留まったり、遊んだりするような場になる瞬間がより明確なアーカイブになりました。

遊びを通して都市にアクセスしてみると、今までみえなかったまちの新たな景色が浮かび上がってくる。9月から始まるクラス「Town Play Studies」では、今回のように『観察→プレイ→検証→考察』のサイクルを繰り返しながら、渋谷のまちを舞台に、〈遊び〉から、これからの都市や建築の可能性を探っていきます。

「Town Play Studies」クラスページ

第1回テストプレイ『the play of gathering』レポート

 

【先生紹介】

海法圭 KAIHOH KEI
1982年生まれ。2007年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。2010年海法圭建築設計事務所設立。人間の身の回りの環境と、人知を超えた環境や現象などとの接点をデザインすることをテーマに、壮大でヴィジョナリーな構想から住宅やプロダクトの設計まで、スケールを横断した幅広い提案を行う。

 

川勝真一 KAWAKATSU SHINICHI
1983年生まれ。2008年京都工芸繊維大学大学院建築設計学専攻修了。2008 年に建築的領域の可能性をリサーチするプロジェクト RADを設立し、建築の展覧会キュレーション、市民参加型の改修ワークショップの企画運営、レクチャーイベントの実施、行政への都市利用提案などの実践を通じた、 建築と社会の関わり方、そして建築家の役割についてのリサーチをおこなっている。

 

津川恵理 TSUGAWA ERI
2013年京都工芸繊維大学Erwin Viray研卒業。2015年早稲田大学院古谷誠章研究室修了。2015-2018年組織設計事務所勤務。2018-2019年文化庁新進芸術家海外研修員としてDiller Scofidio+Renfro (NY)勤務。神戸市三ノ宮駅前広場の設計や150メートルに渡る商店街で行った都市実験などに従事。公共性の高い場所における建築家ならではの新しいデザインアプローチを探っている。