REPORT

佐久間裕美子『みんなで世界を変える!小さな革命のすすめ』出版記念トークを開催しました


ニューヨーク在住の文筆家・アクティビストの佐久間裕美子さんが、GAKUに足を運んでくれました。集まった皆さんに、パワーとエールを送ってくれた佐久間さん。希望に溢れる、非常にあたたかい会となりました。

佐久間さんと私(GAKU事務局 松村)の出会いは、2023年の終わり頃、代々木上原の書店「CITYLIGHT BOOK」にて。佐久間さんは出会ったその日から、私の気持ちをまっすぐ受け止め真剣に向き合ってくれた、大好きな姉であり友人であり、そして「かっこいい」存在です。2024年5月、小学校高学年以上の読者に向けて書かれた『みんなで世界を変える!小さな革命のすすめ』の出版を記念し、同書店にて「日本中学生新聞」の川中だいじさん(15歳)との対談イベントが開催され、私もスタッフとしてお手伝いしました。「今振り返ると、中学時代に抱いていた感覚が一番正しかったと思う」という佐久間さんの言葉にハッとさせられたことを覚えています。私自身、中高生時代は優等生というものからはほど遠く、遅刻やサボり、素行の悪さ等々で常に先生や親に叱られていたのですが、社会が決めた枠組や制度、常識に従ったり捉われたりすることに、すでに嫌々していたことを覚えています。実はこの会にも、GAKUに通う生徒が2人参加してくれていたと後から知りびっくりしたのですが、この頃GAKUでのお仕事を始めたばかりの私は「絶対に佐久間さんをGAKUに呼びたい!」と企み始めました。GAKUに集う10代の皆さんには、とにかくたくさんのかっこよくて面白い大人たちに出会ってほしいと願っています。

そんな話を事務局長の熊井にしてみたところ、実は『ヒップな生活革命』出版時(2014年)から佐久間さんの作品に勇気付けられてきていたことが発覚し、佐久間さんの帰国時を狙って絶対実現させようということに。編集者である偕成社の秋重さんもまた、佐久間さんを通して出会った姉のような存在の友人なのですが、こうして色々なつながりやご縁が重なり合い、実現したトークイベントとなりました。

10代の参加者たちの声も拾い上げながら、佐久間さんと会場の皆が一丸となっておしゃべりしているような、アットホームな感覚がうまれたこのイベント。早く大人になりたいのに時間の流れが遅いと感じていた中高時代の記憶や、なんとか楽しく生きようと頑張っている人たちがヘラヘラしていると思われがちな日本社会との付き合い方など、私も、参加者の皆さんも頷きながら聞き入っていました。

心に留めておきたい、佐久間さんの言葉の数々。たとえば、「管理する側のスタンダードでルールが決められている世の中で、みんなが同じように規格通りのスキル(人格)を持つことが期待されている。それに必ずしも従う必要なんてない。一回しかない人生を、なぜわざわざ辛い思いをしながら生きなければならないのか」であるとか、「『こんな世の中嫌だ』と言い続けなければ、それを認めてしまうということ。変わるかどうかを軸に考えるのは無理がある。資本主義社会の中で仕組みを変えるのは本当に大変なこと。辛いことをみんなでどうやって乗り越えていくか。それが今問われているんだと思う」と挙げればキリがありません。

最後に参加者の皆さんからもコメントをいただき、この会の締めくくりとなりました。GAKUに通う高校3年生の生徒からも「価値観は変わってきているのに、政治や仕組みは昔決められたものから変わっていない。みんな、それに苦しんでいるのに、目を瞑って思考放棄している。それについて子供も大人も考えた方がいいと思う。俺の力で変えてやろうと思っている」と熱いコメントが送られたことが、私の記憶に焼き付いています。

GAKUに通う10代の皆さんには、社会のルールや習慣による圧力に屈せず、おかしいことはおかしいと言い続けてほしい。そして、それをGAKU事務局はいつでもしっかり受け止め、対話ができる場所として存在していたいと改めて考えさせられました。参加してくれた皆さんが、佐久間さんの言葉を通して、少しでもこの社会で生き続けることに希望や安らぎを感じ、自分らしく楽しみながら暮らしていくヒントを持ち帰ってくれていたら嬉しいです。

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開催ステートメントより

ライター、アクティビストの佐久間裕美子さんが、新著「みんなで世界を変える!小さな革命のすすめ」(偕成社)を出版されました。世界の動向、働くということ、私たちの暮らしと政治、これからの教育のこと。日本で生まれ育ち、現在はニューヨークで暮らす佐久間さんのライフヒストリーを辿りながら読み進めていくうちに、さまざまなトピックを知り、考え、それがインスピレーションになっていくような感覚になる、心が動く嬉しい書籍です。
ところで「世界を変える」とありますが、どうでしょうか。世界を変えられるという感覚はありますでしょうか。日本財団が行っている「18歳意識調査」において「国や社会に対する意識」に関するデータが公表されています。日本・アメリカ・イギリス・中国・韓国・インドの若者への調査なのですが、日本は、「自国の将来について『良くなる』」と回答した人の割合が最下位であり、「自分の行動で、社会や国を変えられる思う」と回答した人の割合も、最下位でした。

良くなると思えない上に、その状況を変えられない。そう思わせてしまう社会にしてしまっていることに、心が苦しくなります。何かしらの変化の原因に、自分がなれる。そう思えるということは、自分の人生を生きるという意味において、とても重要であろうと思います。とはいえ、暗い気持ちばかりになる必要もない気がしています。かくいう私も、佐久間さんの書籍が出るたびに、そこで紹介されている事柄や言葉に、励まし、勇気付けられていた人の一人です。現場で起こっている事、起こしている人、それを伝える人、そしてその言葉やイメージ、それらを束ねて、本という形にして広げていくこと。様々な支え合いがそこにあるということも感じていましたし、そこに、より良い社会のあり様を感じてもきました。

佐久間さんの書籍を読むと、学びということが、自分の人生とつながっていく感覚になります。そして、この社会で生きるということが、ちょっと楽しそうだなとも思えてきます。繰り返しになってしまいますが、かくいう私がそうでした。その佐久間さんが、GAKUに来てくれます。お茶やお菓子を囲みながら、みんなでいろんなおしゃべりができたら最高です。何か気になることがあれば、どんどん質問をしてみてください。同時に、ただそこに居てくれるだけでも、遠巻きに眺めてくれているのでも嬉しいです。どうしても遅刻しちゃうとか早退しちゃうとかでも構いません。たった一回の出会い、たった一片の言葉。そういったものが持つ可能性というものがとてもあるように思います。みなさんのお越しを心よりお待ちしています。

熊井晃史

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執筆・写真:松村ひなた

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