REPORT

「自分だけの『見方』をつくる」第8回 写真作品をつくる


自分だけの「見方」を1枚にまとめる
写真家の濱田祐史さんがメイン講師を務める、写真のクラス「自分だけの『見方』をつくる」。このクラスでは、濱田さんと10代の生徒の皆さんが、様々な実践や実験を通して写真表現に挑戦し、「写真」という存在を改めて捉え直していきます。そのプロセスを繰り返しながら、一人ひとりが社会に向ける「見方」のあり方を探っていきます。

9月28日(土)の第8回授業では、前回のzine制作に続き、10月末の成果展に向けて写真作品の制作に取り掛かります。今回は一人一枚、大きなボードの上に写真をコラージュする手法での制作に挑戦。一人ひとりが自分の「見方」と今一度向き合い、それを作品として形に残していきます。








同じフォーマットだからこそ、見えてくるもの
6月からこれまでに撮影してきた写真を選び、並べて、さらにコピー機で加工し、一人一冊、自由にzineを作った前回の授業。何百枚にも及ぶ写真を振り返ることで、それぞれの「見方」の癖や特徴は段々と明確になり、出来上がったzineにもそれぞれの違いがたしかに現れます。コピー用紙をそのままクリップで挟んだものから、オリジナルのバッグにバラバラに詰め込まれたものまで、冊子という形にとらわれないそれぞれの「見方」の表現が垣間見れました。

その一方で、今回取り組むのは同じ大きさで同じ形のボード一枚。生徒の皆さんはダンボールで展示用と同じサイズのものをつくり、そこに試行錯誤を繰り返しています。写真の大きさを大胆に変えることでメリハリをつけたり、写真の裏に透ける被写体の輪郭を鉛筆でなぞったり、写真を貼ったボードの上にそのままドローイングしたり、ボード自体に大きな布を被せてみたり。同じフォーマットだからこそ、それぞれの異なる表現の違いにもグッと目が引き寄せられます。(同じ形や同じような仕組みで残される写真というフォーマットだからこそ、生徒の皆さんが撮ってきたもののバラバラさがかえって際立つことにも似ているように感じます。)



クリエイター同士として盛り上がる
講師の濱田さんは生徒の皆さんの制作の様子を見守りながら、それぞれにアドバイスを贈ってくださいます。一見写真作品には見えない作品も並ぶ中、「なにこれ?」「新しい!」と、どの生徒とも盛り上がる様子は、講師と生徒、ではなく、新たな視覚表現を追求するクリエイター同士の関係性のように見えました。それは生徒の皆さんにとっても励みになるようで、それぞれの制作のペースも上がっていきます。




次回はタイトル付けにも挑戦
今回の会場はGAKUディレクターも務める山縣さんが主宰するファッションスクール「ここのがっこう」。作品を制作する傍ら、ここのがっこうに通う方々や山縣さんに目指す形やその想いを伝える機会も重なり、フィードバックが贈られました。

次回授業は引き続き作品制作に取り掛かりつつ、そのタイトルも考えていきます。これまで向き合ってきた視覚表現に、言葉を与えていく作業は、どのようなものになるでしょうか。

執筆:杉田聖司
写真:髙木紗希

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執筆:杉田聖司
写真:髙木紗希