REPORT

「自分だけの『見方』をつくる」第5回 感性を宿す装いを写すということ


ポートレートを通して写真の存在を考える
写真家の濱田祐史さんがメイン講師を務める、写真のクラス「自分だけの『見方』をつくる」。このクラスでは、濱田さんと10代の生徒の皆さんが、様々な実践や実験を通して写真表現に挑戦し、「写真」という存在を改めて捉え直していきます。そのプロセスを繰り返しながら、一人ひとりが社会に向ける「見方」のあり方を探っていきます。

8月25日(土)の第5回授業のテーマはポートレート。ゲスト講師にファッションブランド「writtenafterwars」デザイナーで、ファッション表現の実験と学びの場「coconogacco」主宰、またGAKUディレクターも務める山縣良和さんをお招き。様々なポートレートからつくり手の視線や被写体との関係性を探りながら、生徒の皆さん同士でも撮影を行っていきました。



人や場との関係性が表れる写真
山縣さんからはまずはじめにファッションデザイナーとしてのご自身の活動が、様々な写真や映像と共に紹介されます。ご自身のファッションショーについて「新しい人間像を表す場所」という山縣さん。「モデルの方がまっすぐにランウェイを歩いてポージングをする」という多くの人がイメージするファッションショーのあり方とは大きく異なる様子が感じられます。

ファッションショーがそもそもどのようなものか。そのような視点をポートレイトに置き換えたときに、どのような考えがもたらされるでしょうか。続いて山縣さんから紹介されたのは、写真家でもあり画家でもある19世紀のアーティスト、Edward Steichen。この作家の作品は、被写体の顔の前にレースをかけたり、被写体に身長以上の大きな肖像画の前に立ってもらったり、はたまた自撮りをしたり、様々な方法で撮影されていますが、共通してくるのは、どれも人や場との関係性が現れているということ。ポートレート写真の奥深さを体感していきました。






授業の後半は実際に撮影に挑戦していきます。これまでは街の風景を中心に撮影してきた生徒の皆さん。今回は、撮影のローケーション選びやその許可取りからポージングの指示まで、プロセスをしっかり味わいながら撮影していきます。

そしてお披露目された写真に写っていたのは、同じクラスの生徒から講師の皆さん、さらには日本橋の街で働く大人まで。どのような想いで撮影場所や撮影対象を選び、どんな会話を重ねながら撮影に望んだのか。それぞれの人や場の関係性についての言葉も添えながら発表していきました。






次回はスナップ撮影に挑戦
次回の授業のゲスト講師は、写真家の川内倫子さん。舞台を渋谷に移し、スナップ撮影に挑戦します。「自分だけの『見方』をつくる」ことに少しずつ手応えを感じている様子の生徒のみなさん。どのような作品が生まれるか、楽しみです。

執筆:杉田聖司
写真:髙木紗希

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