「自分だけの『見方』をつくる」第1回 イントロダクション
写真を通して、自分だけの「見方」をつくる
写真家の濱田祐史さんがメイン講師を務める、写真のクラス「自分だけの『見方』をつくる」。このクラスでは、濱田さんと10代の生徒の皆さんが、様々な実践や実験を通して写真表現に挑戦し、「写真」という存在を改めて捉え直していきます。そのプロセスを繰り返しながら、一人ひとりが社会に向ける「見方」のあり方を探っていきます。
6月22日(土)の初回授業は、ゲスト講師に写真家の吉楽洋平さんをお迎えして開講。イントロダクションとして、遊びを通して写真と「見方」の関係性を紐解いていきました。
そもそも写真とは?
様々な背景を持った12名の生徒と講師が集うこのクラス。まずはメイン講師の濱田さんとゲスト講師の吉楽さんから、それぞれの作品を自己紹介代わりに紹介されます。
日常の風景にあるものを雪山に見立てたり、スモークを用いて光を具体的に可視化したり。図鑑の鳥の挿絵を切り取り、元々住んでいたはずの森のなかに置いたり。お二人の作品集を回しながら、それらのコンセプトを聞いていると、それぞれの「見方」が作品に反映されていることがわかります。
さらに濱田さんからは日本未公開という最新作も紹介。写真のようでもあり映像のようでもある、初めての鑑賞体験に「そもそも写真とは?」という問いが投げかけられているようにも感じました。
生徒の皆さんの自己紹介の中では、思わぬ共通点も見つかるシーンも。年齢も経歴も写真経験の有無も異なりますが、クラスを共にするメンバーとしてお互いを知っていきます。
それぞれの「見方」の違いを楽しむ
お互いをさらによく知るため、授業の後半では、ゲスト講師の吉楽さんが集めているボードゲームに挑戦。大学時代からの友人でもある濱田さんが「写真家の中で一番詳しい」と言う吉楽さんがこのクラスに選んでくれたのは「pictures」。秘密の写真とともに、輪ゴム、積み木、紐、カード、石といった道具が同封されています。遊び方は、それらの写真をそれらの道具で表してみて、それを当て合うというもの。そして、今回は特別に講師のお2人が厳選した写真集を「秘密の写真」代わりにするオリジナルルールで挑みます。
写真を道具に置き換えて表す。簡単なようでいて、色、構図、意味合いなど、その写真のどこにどのように着眼するかによって、それらの表し方は大きく変わっていきます。この遊びを通して、1枚の写真に対するそれぞれの「見方」の癖や違いを楽しみながら感じていきました。
様々な「見方」に触れて、自分の「見方」を見出す
授業の最後には、教室に並ぶ写真集を自由に読む時間も。国内外の写真家たちの「見方」を感じ取ろうとして作品をじっくり鑑賞している様子が印象的でした。次回は、授業会場となる日本橋周辺の撮影に挑戦。自分自身の「見方」をより具体的に掴み、写真作品の制作に向けて一歩前進していきます。
執筆・写真:杉田聖司