REPORT

「まちの中の私とみんなの居場所 -対話を育むかたち-」第10回 最終発表会

半年間にわたる活動の集大成としての建築アイデアを持ち寄る
「まちの中の私とみんなの居場所 -対話を育むかたち-」は、世界的建築家・伊東豊雄さんが主催する建築塾「伊東建築塾」との第6期目の建築のクラス。講師は、昨年度に引き続きPERSIMMON HILLS architectsの廣岡周平さんとKASAの佐藤敬さん。今年度は西小山エリアを舞台に、「私とみんなの居場所」という言葉から空間のあり方を探求し、建築アイデアを構想していきます。

3月29日に開講された第10回は、アイデアの最終発表会を開催。中間発表同様に、講評者としてメイン講師の廣岡さんと佐藤さんと共に伊東豊雄さん、百田有希さんをお招きし、およそ半年間にわたる活動の集大成として、それぞれのアイデアを発表していきました。

起こしたい風景や営みと、それを実現するための形
「こうあったら良いな」と個々が感じられる街の風景や人の営みを思い描くことと、それを実現するための具体的な形やしつらえを立ち上げていくこと。そのようなことを往復しながら、およそ半年間の活動を通して生徒それぞれによって構想された「まちの中の私とみんなの居場所」。今回の最終発表では、中間発表でのフィードバックや地域の方々とのさらなる会話の機会を経てブラッシュアップされた模型とスケッチがお披露目され、それぞれの構想が発表されていきました。

例えば、「誰かに話しかけたくなるような気分を街なかで起こしたい」という想いから、「建物の壁の一部分を削って敷地と街路の境界線をゆるやかにすることで心の壁も取り払う」という提案。「駅の改札を出たときに『この街に帰ってきたな』と思えるような風景をつくりたい」という想いから、「駅前広場を、街の風景を見渡せる広々とした緑道空間にする」という提案。「街全体がいきいきとして感じられる雰囲気をつくりたい」という想いから、「性格の異なる二つの商店街を繋ぐ道に、人が集まれたり自分なりに過ごせたりする空間を展開して人の賑わいを生む」という提案。多種多様な「居場所」のあり方が提案されていきました。

さらに、「対話を育むかたち」を構想するプロセスの中で、「対話の育み方」「人が集うための場のしつらえや運営の仕方」といった部分にまで提案が及んでいく様子がとても印象的でした。

「人ごとにしない」ということ
発表の後には、講評者4名による議論を経て、最優秀賞1作品、講評者それぞれと本取り組みを共同開催しているUR都市機構によって1作品ずつ選出される個人賞が決定されました。「みんな非常にレベルが高くて、誰の案が良いかということで名前を挙げるのも緊張しちゃうくらいです」と廣岡さんがいうほどに、議論が白熱した講評会。最後には講評者それぞれから、生徒の皆さんの今後を後押ししてくれるようなコメントが贈られ、授業が締めくくられました。

「それぞれが自分のやりたいことを、はっきり自分の言葉で話せている。人ごとになっていない。それはすごいことです。とても安心しました。常識にとらわれずにこのまま進んでいってほしい」と、伊東さん。

「毎年楽しみに発表会に参加していますが、今年は特にレベルが高かった。それは地域の人と対話ができ、それをちゃんと引き受けて、それぞれが自分のアイデアを考えることができていたからだと思う」と、百田さん。

「みんな心がこもった素晴らしいプレゼンテーションでした。『私とみんなの居場所』を考える上で、ちゃんと自分の実感が大切にされている。それが、それぞれの言葉から良く感じられました」と、佐藤さん。

「既にあるものでも見方によってそのあり方は変わる。いかに周辺の環境を着眼し、批評できるかということが今回問われていたし、提案を通してそういった視点が色々と生まれていたことがよかった」と、廣岡さん。

次回は、街で育まれた構想を地域の方々と分かち合う
次回は、いよいよ授業最終回。「地域発表会」として、創作の舞台となった西小山エリアで、地域の方々に向けてアイデアを発表していきます。街や人との関わり合いの中で作り上げられた、「対話を育むかたち」としての建築アイデア。それらを持ち寄って、さらに会話を深めていくことで、およそ半年間にわたる活動を締めくくります。

撮影・執筆:佐藤海

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