「まちの宝物と共に生きる」第4回 エスキス②
中間発表前最後の制作の時間
「まちの宝物と共に生きる」は、世界的建築家・伊東豊雄さんが主催する建築塾「伊東建築塾」による建築のクラス。講師は、昨年度に引き続きPERSIMMON HILLS architectsの廣岡周平さんとKASAの佐藤敬さん。全10回の授業を通じて、羽田地区エリアを舞台に「まちの宝物」を捉えていくことから、建築や空間を構想していきます。
12月15日の第4回では、翌週の中間発表に向けて、アイデアのよりよい伝え方にも意識を向けていきながら、引き続き「エスキス」の作業を進めていきました。
自分のアイデアを他の人と分かち合うための、言葉と形
それぞれの感じた「まちの宝物」をより広げたり、深めたりするための建築や空間のあり方を、手を動かしながら少しずつ思い描いていった前回。2回目の「エスキス」となる今回は中間発表会に備えて、アイデアをさらに練り上げていきつつ、それを他の人と分かち合うための言葉や形を探っていく時間にもなっていきます。
アイデアにおいて、自分は何を一番大切にしたいのか?それをどのように示していくべきか?自分の身体的な感覚や個人的な想いが起点になっているからこそ、それをしっくりくる言葉や形に落とし込んでいくのはなかなか時間のかかる作業です。講師のお二人はその葛藤を受け止め、寄り添うように、生徒一人ひとりのアイデアに向けてコメントを贈っていきます。例えば、「家と家の間の空間を敷地にするのは、とても良い着眼点。そこで起こっていることが目撃されて、街の人に共有されていくという面白さもある。周辺の環境に意識を向けたら、もっと発展していきそう」「川と人のより良い関係。その間にある河川敷に、降りるだけではない色んな空間やファンクションを生んだとしたら、川を眺める時間がもっと豊かになるかもしれない」など。さらにその中では、海外の美術館の空間演出など、都市空間のみに留まらない様々な事例が参照される様子もとても印象的でした。
難しく考えず、なるべく簡単な言葉で
「来週の発表会では、自分の目指したい『方針』を話してもらいたいと思っています。楽しいものなのか、綺麗なものなのか、静かなものなのか。一つキャッチコピーを探すのではなくて、形容詞のような、アイデアのなんとなくの方向を指し示すようなものがあれば、それを手助けするようなフィードバックがもらえるはず」と、廣岡さん。「どこから何を見ていて、それはどのようにできているのか。今まさにそれぞれの模型の中で起こっていることを伝えれば良い。難しく考えず、なるべく簡単な言葉を使おう。中間発表は、みんなのアイデアをどう良くしようかみんなで考える時間。悩みもざっくばらんに話そう」と、佐藤さん。講師のお二人から、次回の中間発表に向けたエールの言葉が贈られ、授業が締めくくられました。
「みんなで考える場」としての中間発表会
次回は、アイデアの中間発表会。廣岡さんと佐藤さんとともに、特別講師の伊東豊雄さん、百田有希さんを講評者にお迎えし、フィードバックをいただきながら、アイデアをよりよく発展させていくための手がかりを掴んでいきます。
写真・執筆:佐藤海