「この町を大事に思えるキオスク」第4回 エスキス②
中間発表に向けて、つくりながら考える
「この町を大事に思えるキオスク」は、世界的建築家・伊東豊雄さんが主催する建築塾「伊東建築塾」による建築のクラス。講師には、PERSIMMON HILLS architectsの廣岡周平さんとKASAの佐藤敬さんをお招きし、11回の授業を通じて実際に暮らしのなかにある売店「キオスク」のアイデアを実現していくことを目指します。
中間発表まで今回の授業を入れてあと2回。発表会では伊東豊雄さんや創作の舞台である渋谷川沿いを管理している東急株式会社の方々などに直接アイデアを説明し、フィードバックをいただく機会となります。そのために、11月20日(日)の第4回授業では、それぞれのアイデアをスケッチや模型といった形に落とし込んでいく「エスキス」に引き続き取り組んでいきました。
個々で制作を進めながら、ピアレビューも大切に
授業のはじめには、制作や検討を進めているアイデアを生徒同士や、建築を学ぶ学生等からなるTA(ティーチングアシスタント)の方々と共に共有し合う時間も設けられました。
「ぶどうを栽培して、ジュースを販売したり、建物にからまるぶとうの蔦によってくつろげる場をつくったり、一つのものを通してたくさんの商いが生まれる空間を考えてみたい」「いろんな人が気軽に商売をすることができる市場のような人が集まる空間をつくりたい」と、頭の中で思い描いているアイデアを一度言葉にすることで、客観的に捉え直すことができたり、他の人のアイデアに触れることで、新たなインスピレーションも浮かんできたり。制作そのものは個人で進めていますが、同じ課題に向き合っている生徒同士でアイデアや進捗を共有し合うことも、この授業の中ではとても大切にされています。
それぞれの発想の広げ方で「エスキス」を進めていく
今回が2回目となる「エスキス」。何枚もスケッチを描きながら、紙の上で発想を広げていく生徒。立体的に形を想像しながら模型を作り始める生徒。「商い」の目的や実現したいことを、改めて言葉で書き出してみる生徒。
それぞれが自分の手と頭を動かしやすい方法で制作を進めていく生徒の皆さん。その姿をあたたかく見守りつつ、「いろんな色を使って描いてみよう。自分の頭のなかで思い描いているものを、線だけじゃなくて色と照らし合わせてみるとまたいろんな発見がありますよ」「形は思い描けているから、次のステップでは要素を絞ってシンプルにしていこう。この敷地でしかできないことは何か。そこで一番実現したいことは何か。突き詰めていくことによって、本当に必要なものや、実は不要だったものが見えてくる」と、廣岡さんからは、それぞれの個々の発想に応じたアドバイスが続いていきます。
次回は模型を仕上げ、中間発表に備える
次回は、中間発表前の最後の「エスキス」。発表に向け、それぞれが模型を仕上げていきます。「アイデアの『最小限』を選んでいきましょう。選ぶことは創造性を高める行為。色々な要素を盛り込みすぎず、空間の中で『これが一番大事!』と、シンプルに説明できることが大切です」と、授業の終わりには廣岡さんから、これからの制作と発表に向けてのメッセージが贈られました。