「都市へのユーモア」 クロージングトーク『都市へのユーモアは可能か?を問い応えることについて』

都市でのクリエーションと向き合ってみて
「ユーモアには、想像力や創造力がある。自由や批評眼がある。余白と参加がある。都市でユーモアは可能か?」そのような問いをもとに、日本橋地域を拠点に始まった新プロジェクト「都市へのユーモア」。このプロジェクトのなかで、都市を舞台に視覚表現を探求する映像とグラフィックデザイン、2つクラスを開講し、それらのクリエーションを都市に活けていくという実践と探求を行ってきました。
6月21日(日)はプロジェクトの締めくくりとして、2つのクラスの講師を務める、映像作家の斎藤玲児さん、グラフィックデザイナーでアートディレクターの小池アイ子さん、そしてGAKU事務局長の熊井晃史によるトークイベントを開催。一般の多くの来場の方々を迎えながら、クラスに参加した生徒の皆さん、GAKU事務局スタッフらも、それぞれの視点から約三ヶ月間の日本橋での実感を持ち寄り、(最後にはピザも囲みながら!)プロジェクトの実践を開いていく機会となりました。







プロジェクトを全員で振り返る
約2週間の成果作品展の最終日に開催したこのトークイベント。多くの方にお越しいただいた作品展の盛況を祝いつつ、クラスを担当したGAKU事務局スタッフから、これまでのプロセスをフォトレポートとともにご紹介。講師の斎藤さん、小池さんと共に活動を振り返りました。
(成果作品展のレポートはこちら)
GAKUとして初めての開催となった、映像のクラス「都市映像群」。日本橋と普段暮らすそれぞれの街を行き来した3ヶ月の間に撮った映像作品を持ち寄り、授業ではその鑑賞とフィードバックを繰り返し行ってきました。展示作品のテーマにもなった「風景を取り戻すために」などのキーワードを生徒一人ひとりが解釈して撮った作品は「その人の『生』と密接な映像だった」と斎藤さん。「そこに心を動かされたし、それをそのまま大切にしたかった。だからこそ、自分がかける言葉にも責任を感じた」と言います。授業では、斎藤さんはもちろん、生徒の皆さん同士も言葉を贈りあっていく時間も印象的だったそう。展示では、そこにちなんで、生徒同士がお互いの作品に対して寄せ合ったメッセージをクラスタイトルに紐付けて「感想群」として展示していました。事務局スタッフからは特に印象に残ったコメントが、生徒の作品とともに、紹介されました。
(「都市映像群」の授業レポートおよび作品一覧はこちら)
グラフィックデザインのクラス「グラフィックデザインの拡張」では、日本橋を舞台に、グラフィックデザインにまつわる様々な視覚表現に取り組んできました。開講当初、小池さんからは「2秒で見たことのないものを作りましょう」というコメントが寄せられたこのクラス。その理由を「悩みながら誰かに似たものをつくるより、悩まずにその人にしかつくれないものをつくって欲しかったから」と言います。とはいえ、悩まないことも難しい。だからこそ、様々な工夫が積み重ねられました。例えば、毎回の授業でつくる時間に制限を設けたり、特別なものは使わずに教室の中にあるものだけを使ったり。そのような活動を通して、段々と一人ひとりの「その人にしかない」着眼や手ぐせが見えてくるようでした。展示では、そのプロセスの中で生まれた個々人の作品に加えて、全員でつくったモーショングラフィックを最寄駅のサイネージにも掲載。事務局スタッフからは、初めての集団創作となった撮影時のエピソードと併せて、紹介されました。
(「グラフィックデザインの拡張」の授業レポートおよび作品一覧はこちら)
生徒の皆さんからは「みんなで映像を持ち寄り話す時間が、生きる助けになっていた」「初めてグラフィックデザインに触れてみて、ずっと楽しかった」「言葉にするのはもったいないくらい良い時間だった」など、またこのプロジェクトを支えてくださった三井不動産の社員さんからは「都市にユーモアは必要だなと改めて感じることができた」と、らコメントが寄せられ、このプロジェクトに携わる全員と、来場の方々と、これまでの時間を味わう時間となりました。






これからも続く創作と街づくり
時間は過ぎても、様々な想いや話題が重なり、トークは延長。会場にいる皆さんでピザやお菓子を囲みます。「終わる気がしないし始まってもない気がする。これから映像を撮るきっかけになってよかった」「グラフィックデザインはもっと自由で良いんだと思えた」「限られた条件の中でその時にしかできない面白いものをつくること。その『大喜利』感が自分にあっている気がした」。生徒の皆さん一人ひとりがマイクを持ち寄せていくコメントを通じて、これからもそれぞれなりの創作が続いていく予感が感じられましたし、そのような10代の創作が未来の都市に還ってくることの可能性も同時に感じられました。また一般の来場の方々の中には、グラフィックデザインや映像を学んだり、それらを仕事にしている人も。トーク後には、生徒や講師のお二人との新たな交流も生まれ、活動の輪がさらに広がっていきました。
撮影:吉田陽馬(GAKU事務局)
執筆:杉田聖司(GAKU事務局)