REPORT

「花あそ部2025」特別講座『花のすみ処はどこへ』


器に触発されながら生ける

「花あそ部」は花いけジャパンプロジェクトによるいけばなのクラス。花をいけることを自由に楽しみながら、「​​人はなぜ、花をいけるのか?」という問いに向き合い、花にまつわるクリエーションを体験していきます。

2月11日には特別講座「花のすみ処はどこへ」を開催しました。講師は、華道家の平間磨理夫さんです。


人と関わるように、花とも、器とも関わる
「花の器をただの入れ物として見るのではなくて、『花のすみ処』として見てみた時に、そこにどんな関係性が生まれるか。それは居心地の良さかもしれないし、絶妙な緊張感かもしれない。また、『すみ処』にはお水が必要ですが、花器がなくてはできない、というものではありません。今回の授業では、人と住まいの関係と同じように、花と器の関係を捉えながら生けてみてほしい」と、平間さん。花と器のより良い関係性とはどのようなものなのか。今回は、生徒の皆さんそれぞれが持参した器を「花のすみ処」として扱っていくことで、そのあり方を探っていきます。

花器や花瓶から、コップ、お皿、お鍋、虫籠、貯金箱といった元々は別の用途として使われていたものまで。多種多様な器が「花のすみ処」とされていきます。「透明なガラスが綺麗な器だから、花だけではなく器の中の茎も美しく見せたい」「顔みたいに見える模様がこの器のチャームポイントだから、傾けて置いて花を加えているように生けられたら面白いかも」「背の低い器だけど、下から見る器の表情が好きだから、他の器と組み合わせて高さを出すのはどうだろう」と、生徒の皆さん。「新しい形になることで新しい関係性が生まれる」と平間さんが言うように、器の置き方や花の向き、茎の長さといった細かな変化によって、佇まいや見え方もどんどん変わっていきます。花や器とまるで会話をするように、その姿にじっくりと向き合っていく生徒の皆さんの様子がとても印象的でした。


時間の経過を共に過ごすことで感じられてくるもの
器と花、自分との関わり合いの中で創作を進めていった今回。授業の終わり際、「今日使った花をぜひ持ち帰って、引き続き関わってみてほしい」と、平間さん。また、「花は生き物だから、どんどん変化していく。置く場所の陽や風の向きにも影響される。それに伴って似合う器も変わってくるかもしれない。時間の経過を共に過ごすことで、新たに感じることもあるはずです」という言葉からは、生き物と向き合いながら創作をすることの奥深さが感じられていくようでした。

(事業主体:国産花き需要拡大推進協議会)

撮影・執筆:佐藤海

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