「花あそ部」 第2回 曽我部翔さん
「花あそ部」は花いけジャパンプロジェクトによる「いけばな」のクラス。ゴッホやベートーベン、シェイクスピアにガウディ。様々な芸術家になぞらえた授業を通して、花といういきものと向き合う「いけばな」の表現を学んでいきます。
前回開催された第1回「誰でもゴッホ 絵画をいける」では、Flower Designer・宮永英之さんとともに、ゴッホの代表的な絵画「ひまわり」をテーマに、絵画を模写するように、いけばなとして表現していきました。本日の第2回授業のテーマは「聞かせてベートーベン 音楽をかたちにする」。講師はFlower Designerの曽我部翔さんです。
「お花をいけることは、音楽を奏でることと似ています。その花にしかない特徴があり、その花にしかできない表現がある。そしてその場で演奏する音色みたいに、その時期・瞬間にしかいけられない花があります。そんな部分に惹かれて、僕はお花での表現を始めました。」(事務局の意訳です)学生時代にはバンド活動や、個人でピアノ・ギター演奏もしていたという曽我部さん。普段のお仕事でも、ミュージシャンのライブステージでのいけばなパフォーマンスをメインに、広告や空間装飾、また、音楽をモチーフにした作品なども制作されています。授業の最初には、実際に作品テーマとして使用された音楽を聴きながら、曽我部さんのいままでの作品をご紹介いただきました。
今回の授業では「音楽をかたちにする」というテーマにもあるように、音楽をモチーフにした花いけに挑戦します。課題曲は、ベートーベンの「運命」。音楽を花でどのように表現していけるのでしょうか。そんな疑問に答えるべく最初に、曽我部さんと、花いけジャパンプロジェクト代表理事を務める日向雄一郎さん(花美術家/いけばな草月流師範)による実演が!トーク中の表情とは一変して、緊張感漂う中でみるみると作品ができあがります。曲の印象や構成、自分の、そしてベートーベーンの気持ち。表現する上での着眼点を解説してもらうことで、想像も広がりやすくなります。
次は、生徒の皆さんがいける番。今回は、30種類以上のお花・植物と、自在に変形する、試験官が連なったような不思議な花器を使います。いけ方はもちろん、花の選び方や花器の使い方によって様々な「運命」の解釈と表現がうまれていきます。作品が完成したら、そんな工夫についてみんなで耳を傾けつつ、曽我部さんからコメントも寄せてもらいます。「言葉でいえることも大切だし、うまくいえなくても、なんとなくここに花が必要、という感覚も大切で、きっとそこには必然性があるはず。」そんな言葉で、ぐっと研ぎ澄まされる空気にもなります。
次の作品のテーマ楽曲は自由。自分で選んだ音楽を、花を通して形にしていきます。イヤホンで音楽の世界に入りながら、それぞれが個々に集中する。GAKUの会場には花をいける音だけが響き渡ります。作品は、実際にその音楽を流しながら発表。リズム、旋律、音色、歌詞など。花をいけることを通して、音楽の解釈も深まっていくようでした。
「音楽を聴いたり、お花をいけたり、何をするにも大切なのは、とにかく楽しむこと。例えばごはんを食べる時、お腹一杯になればいいわけではなくて、やっぱりおいしく食べたいですよね。お花も同じです。ただ水にさしておくのではなく、皆さんそれぞれが想いを込めていける、ということがとても大切。今回の授業をきっかけにお花や音楽をもっと好きになってほしいし、自分の感じたことを、お花じゃなくとも色々なことで表現していってもらえたらうれしいです。今日は、みんなが何よりも楽しんでくれたのが嬉しいし、植物といういきものでしか表現できないものであったことも、とても嬉しいです。」(事務局の意訳です)最後には曽我部さんからそんなお話をいただき、本日の授業は終了しました。