REPORT

「東京芸術中学(第6期)」第3回 卯城竜太さん

現代アートに引き込まれる
編集者・菅付雅信さんと13人のクリエイターによる『東京芸術中学』(通称「芸中」)。このクラスでは、菅付さんの著書「インプット・ルーティン 天才はいない。天才になる習慣があるだけだ。」を実践するかのように、膨大なインプットとしてのレクチャーとともに、それらを基にしたアウトプットとしての実践的なクリエーションが重ねられていきます。

それらの「習慣」をより豊かなものにしていくために、絵画・音楽・ファッション・写真・絵本・デザイン・クリエイティブディレクションなど様々な分野を牽引するゲスト講師による知見や経験が持ち寄られ、更には、生徒のみなさんのクリエーションと向き合いながら講評の機会も大切にされています。こちらのレポートでは、それらの様子をダイジェストでご紹介していきます。

5月23日は、アーティスト集団「Chim↑Pom from Smappa!Group」(以降「Chim↑Pom」)のメンバーでキュレーターの卯城竜太さんによる1回目の授業。これまでご自身が制作してきた作品や、キュレーションしてきた展覧会の数々を通して、社会と現代アートの関係性に目を向けていきました。

作品を通して「公共性」に疑問を投げかける
2005年の結成から6名のメンバーで活動を続けるアーティストコレクティブ「Chim↑Pom」。メンバーの一人である卯城さんは「僕らは『行為』を通して表現してきました」と言います。その具体例として紹介されたのは、渋谷に棲みつくネズミを捕獲する『スーパーラット』、国会議事堂前にカラスの群れを集める『BLACK OF DEATH』という2つの初期作品の映像を鑑賞。このように「簡単な」手法で「公共」に疑問を投げかける作品を発表していたChim↑Pomは自ら「公共」をつくるという作品も手がけています。2017年に国立台湾美術館で開催された「アジアン・アート・ビエンナーレ 2017」出典作品である『道(Street)』は、その名の通り、外の公道と美術館内を繋ぐ道。Chim↑Pomが主体となりながら、来場客や美術館とともにこの道のルールを設ける「独自の公共性」をつくる試みです。例えば、「Chim↑Pom」主導であればデモやグラフィティもOKとし、ルールを共に決めていくことで、「道を育てる」ことを目指したと言います。

授業の後半では、現代美術とはどのようなものか考えていきます。「現代美術ってどんなイメージ?」という卯城さんからの問いかけに、「謎の物体」「三次元の立体物」「一つの感情を形や色で表すこと」「難しそうで見方がわからないもの」「意味づけが大切で、単体ではアートに見えないもの」など、生徒のみなさんそれぞれの回答が並びます。「現代美術には『難しそう』というイメージが付き纏うけれど、作り手はすごく簡単に作っているところがポイント」と語る卯城さん。「現代美術の父と呼ばれるマルセル・デュシャンは便器を、Chim↑Pomはカラスやネズミを、赤瀬川原平は缶詰を、というように既製品やそこにすでにあるものを使っている。誰でもできる潔さがあるんです」と続け、代表的な現代美術作品やその背景を紹介してくださいました。

課題は「簡単にアートをつくること」

そんな卯城さんから発表された課題は、「簡単にアートをつくること」。作品のフォーマットは問いませんが、ルールは構想から制作までをきっちり1時間の制限時間内で行うこと。そして、タイトルをつけてくること。7月に開講される次回授業で、それぞれが作品を持参し発表を行います。どのような作品が生まれるのか、今から楽しみです。

 

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執筆・撮影:松村ひなた