REPORT

「東京芸術中学(第4期)」第23回 森永邦彦さん


テクノロジーとファッションが融合した作品を纏う

編集者・菅付雅信さんと13人のクリエイターによる『東京芸術中学』。11月16日は、ファッションブランド「ANREALAGE(アンリアレイジ)」の創設者でありデザイナーの森永邦彦さんによる第一回目の授業。この日は、ANREALAGEが2025年春夏コレクションとしてパリファッションウィークで発表した「空調服」とのコラボレーションアイテムを生徒の皆さんで試着し、実際に同じ手法で服を作ってみるという体験をしました。




パリコレで発表された作品で装う

授業の始まりに、教室先方にズラっと並ぶカラフルな洋服たち。一見、通常のナイロンジャケットのように見えますが、森永さんがパリコレクションで発表した「空調服」を活用したアイテムたちです。装着されているファンの電源を入れると、外の空気が洋服の中に送り込まれ、空気が入れば入るほど原型とは全く異なるフォルムに仕上がっていきます。「パリコレでは、スマートフォンでファンのON/OFFをコントロールし、非日常的な形にしたり、空気を抜くことで重力を楽しんだり、洋服に二つの表情を与えました」と森永さん。

「まずは、実際に着てみましょう!」という森永さんの合図とともに、生徒の皆さんはそれぞれ着てみたいアイテムを着用。パリコレで使用された実物に袖を通していきます。ファスナーをしっかりと閉め、空気が送り込まれていきます。フグのようにトゲが特徴的なものや、妖精のように羽が広がるものなど、個性的なフォルム。どんどん膨れていくような感覚に戸惑いつつ、楽しそうにお互いを眺める姿が印象的でした。

膨らんだまま、パリコレクションの様子を鑑賞し、自分たちが纏っているものが発表されたのか目の当たりにしました。




風の力によるフォルムをデザインする

授業の後半では、実際に生徒の皆さんも手を動かしていきます。ひとりひとつ、着ぐるみのような形をした簡易的な空調服が配られました。「これを使い、見たことがないような造形のアイテムを作ってください。さらに、風が抜けた時に日常的に着れる服であることもポイントです」と森永さん。マジックテープや輪ゴムを用い、どこかを絞ったり、繋げたりすることで造形を作っていきます。

「バレエのチュチュのような形を作りたい」「ケープのような形を作りたい」など生徒の皆さんが思い浮かべる形を実現させるべく、ANREALAGEのスタッフの皆さんがアドバイスをくださいます。悩みつつも黙々と手を動かす皆さん。次回の授業までに最終形に仕上げ、発表を行います。どんなフォルムに出会えるのか、とても楽しみです。

執筆・写真:松村ひなた

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