REPORT

「東京芸術中学(第4期)」第19回 柴田文江さん


それぞれがデザインしたプロダクトを発表する
編集者・菅付雅信さんと13人のクリエイターによる『東京芸術中学』。10月19日は、プロダクトデザイナーの柴田文江さんによる2回目の授業。前回の授業で柴田さんから出た課題は、「ソルトアンドペッパーをデザインする」こと。アイデアをスケッチしたり、粘土や紙を使ってモックアップをつくりながら、自分なりにまとめてきた考えを披露しました。



生活のなかにあるプロダクトデザインの可能性
雲のカタチをしていて、雨や雪が降るイメージのもの。結婚した音楽の先生の新生活を祝い、マグネットで「くっつく」ように仕掛けられた音符のカタチをしたもの。学校の先生が怪我をし、手が使えなかったことがきっかけで生まれた、握力がない人向けのもの。宇宙で飛行士たちが使うことを目的に作られたもの。自身の闘病生活からヒントを得た、衛生面を最適化するための小包装の使い切りタイプのもの。「食卓を楽しくする」ことを念頭にボードゲームであるチェスの駒を用いたソルトアンドペッパーを作ったもの。

「カタチの背景を考え、どこで、誰が、どんな風に使うのか考えてみよう」という柴田さんの言葉をもとに、様々なカタチのソルトアンドペッパーが持ち寄られました。


プロダクトデザインの視点で見る、モノとの関わり方
1週間という短い時間の中で、スケッチやモックアップの作成、そして発表に挑んだ皆さん。「とても難しい課題だったと思う」と柴田さんは振り返ります。「この課題を出した意図は、綺麗な完成形を見たいということではなく、デザインの始まりを体験してもらうこと。発表を聞き、皆さんにはすでに着眼点やきっかけを見つけることができているんだなと感心した。プロダクトデザインの視点でモノを見始めると、暮らしの中のモノとの関わり方や目線が変わってくると思う。今回の体験でモノの見方の解像度が一段階上がったと思う。私たちはモノに囲まれて生きているので、この視点を忘れず、暮らしを豊かにしていってほしい」とまとめました。

執筆・写真:松村ひなた

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