REPORT

「東京芸術中学(第4期)」第13回 ワークショップ「言葉の編集」②


日本語の豊かな使い方
編集者・菅付雅信さんと13人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。9月7日(土)は、芸中アシスタントのアレクサンドラ・プリマックさんによるワークショップ「言葉の編集②」を開講。アレクサンドラさんは、大学院に通うため6年ほど前に日本に渡りました。太宰治の小説が大好きという彼女は、自身も作家を目指しているそうです。この日の授業では、様々な小説の文章を例に、言葉の技法やスタイルを学びました。

美しさを感じる文章を支える、センスと技術
作家やエッセイストにならなくても、クリエイターとして活躍するには言葉が欠かせないというアレクサンドラさん。「言葉のセンスを高めていきましょう」という励ましとともに、具体的なテクニックに関するレクチャーが始まりました。

まず紹介されたのは、修辞技法。言葉を美しく巧みに使い、効果的に表現する方法だと説明します。具体的には、比喩、隠喩、リズム、体言止めなどが挙げられます。村上春樹の『世界の終わりのハードボイルドワンダーランド』の抜粋より比喩と隠喩の作例を学び、実際に生徒の皆さんにも10分間で隠喩のある短い文章を書き発表してもらいました。このように、技法を学び、実際に書いてみるというスタイルで授業は進んでいきます。例えば、体言止めの例として太宰治の『富嶽百景』などの名作より抜粋が紹介され、文学の美しさに触れる機会となりました。

授業の後半では、夏目漱石が自身の夢について書いた作品「夢十夜」より、言葉のセンスを訓練します。この文章を読み、何を感じたり気づいたか、なぜこの文章が美しいのかを考えます。生徒の皆さんからは、「夢に出てくる女性の描写の解像度が高い」「最後の部分は少し奇妙な感じがする」「夢の幻想的な感じが伝わってくる」など、活発な感想が出てきます。



執筆・写真:松村ひなた

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