「東京芸術中学(第4期)」第9回 瀧本幹也さん
課題は「架空の映画ポスターを制作する」こと
編集者・菅付雅信さんと13人のクリエイターによる『東京芸術中学』。7月6日は、写真家の瀧本幹也さんによる2回目の授業です。広告写真をはじめ、グラフィック、エディトリアル、自身の作品制作活動、コマーシャルフィルム、映画など幅広い分野の撮影を手がける瀧本さんから出された課題は「架空の映画ポスターを制作する」こと。映画の内容や出演者の設定は自由です。プロの現場と同じように、ティーザーポスターと本ポスターの2種類を制作してもらいました。
視覚的な表現を支える物語的な想像力
前回の授業で瀧本さんは、映画『怪物』『朽ちないサクラ』や、大河ドラマ『青天を衝け』『篤姫』などご自身が手掛けたポスターを作例に、「本ポスターは公開直前に掲示される説明的なもの。それに対しティザーポスターは、公開2ヶ月ほど前に掲示され、作品の世界観やトーンを表現するもの」だと説明しました。これに習い、ティザーと本ポスターでは、全体の構図や色彩に変化を加え、雰囲気や世界観がガラッと異なる作品が、生徒の皆さんから集まりました。
バレエに目覚める男の子の話、社会に馴染めずもがく少女の話、女子3人組の間で引き起こされるドラマの話、歌手になる夢を叶える話など。ポスターの題材に選ばれた映画には、既存の作品もいくつかありましたが、自作のオリジナルストーリーが多く持ち寄られました。視覚的な表現を支える物語的な想像力も同時に発揮されていた様子がとても印象的で、菅付さんや瀧本さんも驚いている様子でした。
プロの着眼点を知る
「これは自分ひとりでつくったの?」「イラストレーターをつかったの?」など、生徒のみなさんの表現技術にも目を見張りながら、「見てほしいものを際立たせると、もっと目を引くものになる」といったアドバイスのなかで、構図や背景の作り方、文字情報とのバランスなど、プロの観点でのより具体的な着眼点を示してくれました。
執筆・写真:松村ひなた