REPORT

「東京芸術中学(第4期)」第7回 矢後直矩さん


2024年度、初めての課題発表
編集者・菅付雅信さんと13人のクリエイターによる『東京芸術中学』。6月21日は、アートディレクターでグラフィックデザイナーの矢後直矩さんによる第2回目の授業です。前回の授業で矢後さんから発表された課題は「新しいアナログレコードのジャケットをデザインする」というもの。どの楽曲・アーティストの作品を題材とするかは自由です。今回はその課題に取り組んだ成果を生徒の皆さんが発表していきます。



自由な発想のレコードジャケットが登場
今年度初めての課題発表ということで、生徒の皆さんはやや緊張した面持ちで授業はスタート。この課題に取り組むまで、レコードを触ったことがなかったり、レコードで音楽を聞いたことがなかった方も多かったようです。だからこそ生み出せた、新しさや自由にあふれた作品の数々が発表されました。ジャケット内に水が入っているもの。持ち歩ける透明のバッグ型のもの。レコード盤をピザに見立てスライスされたもの。ジャケットに粘土や生花をあしらったものなど。楽曲には、Billie EilishやNewJeansなどの近年の人気アーティストから、PrinceやZazen Boysまで幅広いアーティストの作品が選ばれていました。


「普段」の延長線としてのクリエーション
「『完璧』なデザインではなく、少し曲がった直線に魅力を感じるように、人間らしいエラーを受け入れるデザインをつくりたい」と、前回の授業で現在のデザインへの向き合い方について、胸の内を明かしてくれていた矢後さん。ひとつひとつの発表に対してじっくりと向き合ってくれる姿が印象的です。

「アイデンティティを表現に取り入れる才能があるね」「普段から絵を描くの?どんな絵を描くのが好き?」「コンポジションをする構成力があるね」と生徒の皆さんの個性を引き立てつつ、さらには、どのような工夫を加えると「自分にしかできない、他人が真似できないアプローチ」を作品に持たせることができるか、具体的なアドバイスも提案してくれました。

最後に「レコードに触れてこなかった皆さんだからこその自由な発想に驚きました。まだ体験したことのないどんなクリエーションでも『普段絵を描くことの延長戦』だと思ってこれからも手を動かしてみてください」とエールが贈られます。そして、「矢後賞」としてオリジナルのデザインプロダクトもプレゼントしていただきました。

執筆・写真:松村ひなた

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