REPORT

「東京芸術中学(第2期)」第7回 瀧本幹也さん


仕事としてのクリエーションの中にあるもの
編集者・菅付雅信さんと13人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。5月28日(土)は写真家の瀧本幹也さんによる1回目の授業です。

写真家としてサントリー天然水やポカリスウェットなどの広告写真を撮影するほか、『海街ダイアリー』など映画の撮影も手がけられている瀧本さん。今回はご自身の広告写真を実例にあげ、その背景を解説いただきながら、写真家という仕事におけるクリエーションに向き合う姿勢を学んでいきました。





仕事の「種」を捉え、体験する
瀧本さんは芸中の生徒の皆さんと同じ10代の頃に写真家を志したそう。高校を中退し上京したこと、師匠との出会い、そして独立に至る経緯まで。まずは菅付さんとの対話の中で、時には生徒の皆さんか質問をしながら瀧本さんの半生を振りかえっていきます。

「これはどうやって撮ったと思いますか?」瀧本さんはこれまでに手がけてきた作品をスライドに映しながら、生徒の皆さんに投げかけていきます。まるで人が雲の中に浮いているかのようなポカリスウェットの広告、動くはずのない山だけがブレている天然水の広告、モデルが抱き合いながら溶けているように見えるMr.Childrenのアルバムジャケットなど。一枚の写真が撮影されるための裏にある様々な創意工夫を惜しげもなく「種明かし」をしてくれます。「どんな仕事にも遊びをいれたいし、『種』のある写真っておもしろいですよね」。と、瀧本さんご自身がその工夫することを楽しんでいらっしゃる様子もとても印象的でした。

ミュージシャンの坂本龍一さんからオーダーを受けた『lost child』という曲のミュージックビデオは真っ暗な中を白い光が静かに動いていく映像。受講生の皆さんはその様子をじっと見つめつつ、その映像を撮った手法をそれぞれが考察していきます。「大きな部屋に沢山の人がライトを持って動いたのかな?」「微生物の繁殖の様子を捉えた?」など、様々な答えが挙げられました。そして実際に使用された機材の実機がGAKUに登場し生徒のみなさんの目の前に。予想もできないほど身近なアイディアで制作されていたことに驚きつつ、瀧本さんにレクチャーいただきながら、撮影方法を実際に体験しました。


自分が楽しめることを続けていく
「僕は制作している時、楽しくて仕方ないんです。趣味のように、まず自分自身が楽しめることを意識して仕事をしてきました。そうすれば自然とクライアントも楽しんでくれる。それが幸せな仕事の形なんだと思います」というメッセージは、生徒のみなさんの職業観を豊かにしてくれているようでした。


自分の感覚に向き合って課題に取り組む
瀧本さんから生徒の皆さんに発表された課題は「自分なりにグッとくる広告写真を撮ってくる」こと。そして、「その写真を通して何が伝わるのかを発表する」こと。被写体もカメラも発表する形式も、自由。「自分なりのグッとくる」ということは、簡単そうで難しく、難しそうでシンプルなこと。生徒のみなさんの感性がどのように発露するか、とても楽しみです。

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