「都市映像群」第4回 上映会②
新しい眼差しで「口」を捉える
「都市映像群」は、都市を舞台に視覚表現を探求するプロジェクト「都市へのユーモア」の一つとして実施している映像表現をテーマにしたクラス。講師には映像作家の斎藤玲児さんをお招きし、日本橋の街を拠点にしながら映像表現を学び、実践していきます。
「名付けられないもの」というテーマでそれぞれが制作した映像作品を持ち寄り、鑑賞した前回の授業。5月9日の第4回授業も引き続き、それぞれの作品を持ち寄る形で「上映会」を行いました。今回のテーマは「口に入れるもの」。窓のようでもある「口」の存在のあり方を捉えていきながら、都市を舞台にした映像表現を実践していきました。




みんなで捉え方の幅を広げると愉しい
口を通過するものとして、食べ物や言葉を捉え直す。食べる/食べられるという関係性そのものに着目する。「咀嚼」「発声」「飲み込む」「吐き出す」といった口の働きを見つめる。「口」と一口に言っても、その解釈や捉え方は本当に様々です。言葉を自分なりに受けとめ、捉え直していくことを通して創作を生む。そのようなことを繰り返しながら、それぞれが自分の独自の着眼や表現のスタイルを見出されつつある様子がとても印象的です。そして、「そんな解釈もあるのか!」「どうやってつくったの?」とそれぞれの着眼を分かちあって驚き合う時間もクラスの醍醐味です。
また、今回の授業では、「都市へのユーモア」プロジェクトのもう一つのクラス「グラフィックデザインの拡張」の生徒も、今回の課題作品を携えて参加。嬉しい交流の機会にもなりました。同じ街を舞台に視覚表現を探求している2つのクラス。合同での作品展示会の開催も予定していますので、今後の展開にもぜひご期待ください。

観て学び、つくる
このクラスでは、作品の制作方法やその表現のスタイルをそれぞれに見出していくことに重きが置かれながら、だからこそ、作品を持ち寄って共に眺め合う時間が大切にされています。そして、毎回の授業やその放課後の時間には、斎藤さんがおすすめの映像作品や作家を紹介してくれたり、生徒同士で情報交換をしたりしている場面も多々。
今回の授業では、現在都内で特集上映中の、リトアニア出身の実験映画作家であるジョナス・メカスの作品が紹介されました。ジョナス・メカスは生活の中で身の回りの世界にカメラを向けて映像に記録し、『ウォールデン』などの日記的な映画作品を制作。生活の中で撮り溜めた映像を作品にする彼のスタイルは「このクラスの活動における作品制作のスタンスとも通じるところがある」と、斎藤さんは言います。さらに、「東京近郊には小規模な作品を上映するミニシアターがいくつもあって、上映機会の少ない作品も観ることができる。そうした場を守るためにも、ミニシアターを訪れてみてほしい」と、都内のおすすめの映画館も紹介してくださいました。


最後の制作テーマは「風景を取り戻すために」
次回からは、展示会での発表に向けた最終課題の制作に進んでいきます。最終課題のテーマは「風景を取り戻すために」。これは、講座の開講にあたって斎藤さんが寄せてくださった「メッセージ」の表題でもあります。提出は次々回の授業最終回。それに向けて次回の授業では、それぞれの作品の進捗を持ち寄り、経過報告会を行なっていきます。
撮影:吉田陽馬(GAKU事務局)
執筆:佐藤海、吉田陽馬(GAKU事務局)