REPORT

「EDIT CITY 都市の探検と編集」第9回 ページ構成①


デザインの役割を捉えていきながらこれまでのフィールドワークの成果を形にする
「EDIT CITY 都市の探検と編集」は編集のクラス。講師を務めるのは、編集者の山若マサヤさんです。紙媒体を作り上げることの可能性や、街を面白がる様々な視点を学んでいきながら、全12回の授業を通して生徒一人一人が都市を舞台にした本づくりに挑戦していきます。

11月23日(水)は、第9回「ページ構成①」を開催。会場は、本づくりの舞台となる有楽町に位置するコミュニティスペース「SAAI Wonder Working Community」です。有楽町の街に出て取材や撮影を行った前回の授業。改めて話をお聞きしたり撮影を重ねたりすると、「伝えたい!」という気持ちもより高まっていきます。今回の講師は、デザイナーの荒金大典さん。本のページをどのようにデザインすればそれが叶うのか。荒金さんの方法論を学んでフィールドワークの成果を形にしていきました。

 


他の誰かと同じように街を面白がるためのデザイン
様々な人が暮らし訪れる有楽町の街からインスピレーションを受けて作り上げているからこそ、自分とは異なる立場や背景の人にも届けていきたくなります。今回の本作りは、生徒の皆さんが作成した絵コンテをもとに荒金さんにデザインをしていただくことで仕上げられていきます。つまり、それぞれの伝えたいことを本に落とし込んでいくために、絵コンテの精度をあげていくことが肝となります。では、そのためにはどのようなページにしていけば良いのか。本を通して「伝えていく」とはどのようなことなのか。授業のはじめには荒金さんによるレクチャーが行われました。

「どのように本の価値を感じてもらい、手に取ってもらうか。その方法を考えながら本を形にしていくのが僕の仕事です」と、荒金さん。これまでには「an・an」「クロワッサン」などの商業誌から企業の社内報まで、アートディレクションを手がけられた様々な仕事を紐解きながら解説してくれます。目的とそれを叶えるための方法を同時に導き出すこと。ページの構成やレイアウト、文字の大きさ、写真やイラストの使い方など、どのデザインもその両面への着眼や工夫がありありと感じられます。それらに至るまでのプロセスを知ることで、「伝える」ということの難しさや奥深さを実感します。「一番伝えたいことはなんだろう?」「伝えるための方法はこれでいいのかな?」と、これまで制作してきた絵コンテを改めて検証していく視点を学んでいきました。

 


自分の伝えたいことを、紙面の中でどのように表していけるのか
「皆さんが街を通して見つけ出したテーマはどれもとても面白い。それは個々が自由な視点で街を捉え、正面から関わり合っているから。そんな皆さんの街の見方が有楽町に訪れる色々な人に伝わっていったら、きっと街の新たな魅力が広がっていくはず。では、どのような本にしたら多くの人に届くのか。その方法を一緒に考えていきましょう」と、荒金さん。レクチャーを踏まえて後半では、荒金さんと山若さんからフィードバックをいただきながら絵コンテの手直しを進めていきます。

街で長くお店を営む方へのインタビューを掲載したいという生徒に対しては、「インタビューの内容だけではなく、その人自身の人となりに魅力を感じているんだね。では、印象的だった言葉をピックアップして大きめに載せて、その人らしさが伝わってくるようなページにするのはどうだろう」と。建て替えが決まっているビルの外観や内装に魅力を感じ、その存在を紙面として残したいという生徒に対しては、「各階の壁面のタイルやドアの取手やエレベーターの案内表示など、何気なく通り過ぎてしまうような細やかな部分一つ一つに良さを感じているんだね。その視点はきっと他の人にはないあなた独自のもの。どういうところが良いと思ったのか、キャプションを入れてみたらより魅力が伝わるのではないかな」と。講師の方々からは、生徒一人ひとりのテーマへの想いを受け取りながら、それらをページの中でより良く表していくための具体的なアドバイスが贈られます。生徒の皆さんは絵コンテのブラッシュアップを進めていきながら、それぞれが紙面の中で伝えていきたいことを改めて確認していくような時間にもなりました。

 


次回は、内容と構成の両面を仕上げ、絵コンテを形にしていく
絵コンテの手直しを進めていき、それぞれの誌面に載せていく言葉やイメージの入れ込み方を確認していった今回。次回はその構成をもとに内容を具体的に詰めていきながら、写真や言葉からなる内容でもあり、それをどう見せていくかというデザイン案でもある絵コンテを仕上げていきます。

 

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