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「越境文学サロン作品集」お披露目会

「越境文学サロン作品集」お披露目会を開催

母語ではない言語で書かれた文学作品「越境文学」を扱い、文学そのものが持つ「越境性」や、私たちの中に宿る「越境性」に着目し、読書体験を深めながら創作に向かうクラス「越境文学サロン」。本クラスは、目白庭園「赤鳥庵」にて2025年6月からおよそ半年間にわたり、メイン講師のアレクサンドラ・プリマックさんとともに開講されました。

クラスの最後には、「越境性」をテーマに生徒の皆さんが散文や詩を執筆し、「越境文学サロン作品集」が刊行されました。2026年4月12日(日) には、この作品集を多くの方々と分かち合うことを趣旨に、「越境文学サロン作品集お披露目会」を開催。11月末に最終回の授業を迎えてから久々に、生徒の皆さんと講師のアレクサンドラさん、そしてイベント参加者の皆さんと赤鳥庵に集うことが叶いました。

作品集には、クラスを受講した生徒11名による詩や散文作品を掲載。この作品集は、GAKU及び書店にて販売されます。お披露目会では、作品集の販売のみならず、生徒による作品の朗読会と「越境性」をテーマに参加者の皆さんとの対話会の時間を持ちました。

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受講生たちによる作品朗読会

生徒それぞれが自身で執筆した作品より「越境性」を感じる部分を抜粋し、朗読。朗読後は、講師のアレクサンドラさんから「なぜこの部分を抜粋したのか」「どのような思いで作品を執筆したのか」「『越境性』をどのように見出したか」など、それぞれの生徒に質問していきました。

「書いていくうちに、毎日の小さな違和感や迷いの中にも越境性があると気づきました。この一節には、その揺れている感覚を込めました。」「自分の中では、境界を越えるというより、境界の上に立ち続けている感覚に近い。この部分は、どこにも完全には属せない不安を書こうと思って抜粋しました。」「書いている途中で、自分でも気づいていなかった感情が出てきました。詩では、その初めて見えた自分の中の境界を表現しています。」など、各々の想いが語られました。

自分が書いたものを人前で声に出して読むという経験は多くの生徒にとって新しく、緊張している様子でしたが、作品に込められた思いがそれぞれの声を通じてエネルギーとなり、作品に新たな力が吹き込まれたように感じられました。

公開対話「わたしたちが持ち寄った『越境性』」

朗読後は、「越境性」をテーマにイベントに参加してくださった方々も交えて対話の時間を持ちました。まずは参加者の皆さんに、「越境性」という言葉から浮かぶイメージを聞いてみました。「国を越えること」「コンフォートゾーンを越えること」「違う角度から物事を考えてみること」「ブレイクスルーすること」など、様々な感覚が寄せられます。これに対して、生徒の皆がどのような「越境性」をクラスや執筆を通して見出し、持ち寄ったのか話していきました。

生徒たちも、執筆や朗読を通して見つけたそれぞれの「越境性」を共有し、「自分の言葉が誰かに届くことで、新しいつながりが生まれたように感じた」と語っていました。作品を書くこと、そしてそれを届けること。その一つひとつの行為が、自分と他者の境界を越えていく体験となったのではないでしょうか。

目白庭園「赤鳥庵」に集うということ

全8回の授業で構成された本クラスは、目白庭園「赤鳥庵」で開催。受講生の皆さんは、執筆や読書に集中するお気に入りの場所を見つけたり、「赤鳥庵」の窓から庭園を眺めることを楽しみにしていたりと、何度も通ううちにそれぞれの過ごし方を見つけていった様子が印象的でした。この日も、庭を散策したり縁側に出たりしながら、春の目白庭園を思い思いに満喫しているようでした。

「赤鳥庵」は、大正7年に鈴木三重吉によってこの地で創刊された子どものための文芸雑誌「赤い鳥」にちなんで名付けられた、木造瓦葺き平屋建ての数寄屋建築です。鈴木三重吉は、夏目漱石に師事し、主宰した「赤い鳥」や、推し進めた「綴方教育」等の活動により、日本の児童文学の父と評価されています。

そのような文学的背景を持つ「赤鳥庵」で、生徒たちは自らと言葉を通して向き合ってきました。回を重ねるごとに、庭園の風景や空間そのものも創作の一部となり、それぞれが思い思いの形でこの場所に親しんでいたように感じられます。その時間は、生徒たちにとって「越境性」を考えるだけでなく、実際に体験する場にもなっていたのではないでしょうか。

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執筆・撮影:松村ひなた