REPORT

「Beyond the Music」第3回 ermhoiさん

「Beyond the Music」は、音楽を通じて、言語、文化、歴史、物理、民族、テクノロジーといった、他の領域への学びを深めていくクラス。WONK/millennium paradeキーボーディストの江﨑文武さんが総合ディレクターを務め、授業ごとに様々なジャンルの方をゲスト講師に迎えます。

2021年4月4日(日)は、「Beyond the Music」の第3回授業を開講しました。今回のゲスト講師はトラックメイカー/シンガーのermhoiさん。日本とアイルランド双方にルーツを持ち、ソロ活動をはじめ、millennium paradeへの参加、フジロック 19’ のレッドマーキーへの出演を果たしたblack boboiの結成など、多方面で活動されています。

「プロテストソングの世界地図」と題された今回の授業は、「音楽と世界史」がテーマ。まずはermhoiさんがプロテストソングの代名詞とされるボブ・ディランの「風に吹かれて」の弾き語りを披露!そんな時間をみんなで過ごしたあとは、ermhoiさん、そして江﨑さんと一緒に、「レイシズム」「戦争」「経済」「ジェンダー&セクシュアリティ」などのテーマに分かれた世界各国のプロテストソングを聴き、それぞれの曲がプロテスト(反抗)する社会の実情やその歴史を探っていきます。一方で、「プロテストの表現方法として、もちろん歌う事が全てではないよ」と、政府に抗議するために静かにただ道路に立つだけの青年の姿など、「Quiet Protest(無言の抗議)」という実例も紹介いただきました。

実際に視聴した曲の一部はこちら!

Archie Roach「Took The Children Away」
Billie Eilish「all the good girls go to hell」
Billie Holiday「Strange Fruit」
Bob Dylan「Masters of War」
Bob Marley「Them Belly Full」
The Cranberries「Zombie」
Diana Ross「I’m Coming Out」
Las Tesis「El Violador en tu camino」
Ramy Essam「Irhal [leave] 」
The Smiths「Meat Is Murder」
高田渡「生活の柄」

「音楽の歴史を調べると、社会的なものごとへつながって、そこからまだ知らない価値観へつながっていく。そして、たとえどんな価値観だとしても、それらに対して自分はどう思うかを深めていける。それは自分を知ることに繋がります。授業を通して、私自身そう思いました。あと、みなさんに伝えたいのは、英語はやっぱり大切。もちろん他の言語でもよいんだけど、よりたくさんの価値観を知るには、日本語の情報だけではとっても限られています。」とermhoiさん。「たくさんの曲を知っているだけでなく、一つの曲についてたくさんの事象を知っているのもかっこいい音楽の『ディグり方』。音楽をする人は、他の曲の背景を知ったり、どういう状況で自分が曲を作ろうとしているのかを捉えることも大事です。」と江崎さん。(事務局の意訳です♩)講師のお二人からはまとめとしてこんなコメントをいただきました。ふと振り返ると、授業冒頭にermhoiさんが演奏したあの曲や、普段聞いている曲たちにはどんな歴史があるんだろう?と、純粋に好奇心が動かされるような感覚を得た、そんな授業だったように思います。

授業が終わった後には、生徒の皆さんは今日の授業の感想をお互いに話し合ったり、ermhoiさんや江崎さんに質問したりなど、思い思いの時間を過ごしているようでした。(中には、前回の授業を参考にしながらオリジナル楽曲を作ってきてくださった生徒の方も!)

続く次回、「Beyond the Music」第4回授業は、『音楽とテクノロジー』をテーマに、複数のスピーカーを用いた音響作品で文化庁メディア芸術祭アート部門新人賞を受賞するなど、芸術と科学の重なる領域での活動を展開しているボイスプレイヤーの細井美裕さんをお招きして開催します。このクラスは単発での生徒募集を行なっているので、興味のある方はぜひご参加ください。授業日程や申し込み方法など、詳細情報は決まり次第、GAKUウェブサイト、SNSにて発信していきます。

 

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