新しい演劇のつくり方(第4期)第8回

感覚に耳を澄ませ、共有し合うことで生まれる演劇
GAKUが2020年より開講している演劇のクラス「新しい演劇のつくり方」。これまで3期の開講を通じて、多様な演劇の作り手の方々を講師に迎え、経験を問わず様々な10代が集まる機会を大切にしながら、まさに「新しい演劇のつくり方」を探求していきました。今期は講師に今野裕一郎さん(映画監督、演出家、「バストリオ」主宰)を迎えています。1月11日(日)、8回目の授業となる今回は、前回に続き一人ひとりの生活を書き留めた「日記から作られた発表」とそのフィードバックを重ねていきました。










「どのように見られるか」も考える
前回の1組に続き、今回は4組のペアの発表を控え、それぞれが書き溜めた日記をもとに準備を進めていきます。年末年始に思いついたという新たな発表の形を試してみたり、それぞれの自宅から発表に使えそうなものを持ち寄ったり。その場にいた全員が確かな手応えを感じた前回の発表。その1組の熱量を受け止め、それぞれの熱量もさらに高まりを見せているようにも感じられます。
発表は、会場に「客席」を設けることから始めていきます。例えば、客席を意図的にバラバラな場所に設け、発表者がキャスター付の椅子で都度その場所に移動してからパフォーマンスを行なったり。発表する2人が大事にしているものを観客にどのように伝えるのか。そのためには、どのように観られるのか。「観客」の存在を見過ごさないことを大事にしながら、それぞれの発表が行われました。
それぞれの発表は「自分の誕生日」「弟の保護者会に行った後、カフェに寄り、GAKUのクラスに参加した日」「マックを食べて散歩した日」「来年いきたいゼミを見学した日」「美術予備校でデッサンを描いた日」「バンドを組むことになった日」「うまく行かなかったことが、うまくいきはじめた日」「一日中仕事をしていた日」の日記について。ペア同士でお互いの日記を読み合い、そこには書かれていないけれど、思わず話してしまうことまで耳を傾け合うことから、それぞれが発表を立ち上げていきました。


違和感も手応えも大切にする
「2人の服装やバッグが対照的に見えて、発表の内容とリンクしていた」と発表者の意図を超えた解釈が生まれたり。「この席のこの角度から見える、エレベーターの中での2人のこのくらいの距離感がよかった」と感じた印象を立ち上がり身振り手振りで伝えたり。「さっき言いそびれたことがあって」と、その時は見つからなかった言葉を見つけてもう一度手を挙げて伝えたり。観ることや言葉を贈ることが、より良い発表に繋がる実感が支えになり、授業を重ねるごとに発表後のフィードバックの時間も盛り上がっていきます。
「『もっと面白いと思って欲しい』と思い、自分ではなくキャラクターを演じてしまった」「何をするかに集中して、何を見せたいのかまで考えきれなかった」。これまでも発表を重ねてきた生徒の皆さん。それぞれが手応えを感じているからこそ、難しさを感じた生徒の方も。「自分で発表すること、他人に見られることの意識が同時に起きること」。それは簡単ではないと今野さんも想いを寄せます。その難しさを理解した上で挑戦する。その挑戦は、違和感も手応えも、自分の感覚も他人の感覚も、そのすべてを大切にするということでもあります。そして、そのようなことがこのクラスではすなわち創作となっていきます。
【リフレクションノート】
このクラスでは、文章やイラストや写真など、形式を問わずに生徒の皆さんの持ち回りで順番にリフレクションノートを提供してもらっています。それぞれの生きてきた経験。授業に参加して味わった体験。その体験が終わったあとの体験。さまざまな経験と体験が連なりながら、このクラスが進んでいきます。
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