REPORT

新しい演劇のつくり方(第4期)第7回


日記からつくってみる
GAKUが2020年より開講している演劇のクラス「新しい演劇のつくり方」。これまで3期の開講を通じて、多様な演劇の作り手の方々を講師に迎え、経験を問わず様々な10代が集まる機会を大切にしながら、まさに「新しい演劇のつくり方」を探求していきました。今期は講師に今野裕一郎さん(映画監督、演出家、「バストリオ」主宰)を迎えています。12月20日(土)、7回目の授業となる今回は、それぞれの生活を書き留めた「日記」を持ち寄ることから創作に臨んでいきました。






読み合う、耳を傾け合う、話し合う
授業前から、生徒の皆さんの話題はバストリオが先日開催した「ロングトレイル」(詳細はこちら)について。発表を作る、見る、感想を話し合うという、バストリオの創作の様子を公開するこの取り組み。「言葉にすることは難しいんだけど」という前置きもありながら、「自分も早くやりたい」とつくり手として創作意欲に刺激を受けたり、「観ている自分も一緒にあの場を作っていた」と受け手としての体感を振り返ったり、「暖かい時間が流れていた」と場そのものの空気感を思い起こしたり。それぞれの語りが、今創作に臨んでいるクラス全体に、自然とじわじわと受け取られていくようでした。

その後、それぞれの日記をペアになって読み合い始めていきます。「最近同じような体験をしたのでびっくり」「お母さんとのLINEのやり取りがすごく良い…」「この日の日記、特に字が綺麗なんです」「いつも忙しそうにしている様子だけど、この日だけはマックに行っただけになっていて逆に気になる」と、個人的なことではあるものの、それを渡し合うことで、思わぬ発見やリアクションが生まれていきます。

読み合う、耳を傾け合う、話し合う。日記を通して会話を深めていきながら、続いては、お互いのその日記の中から選んだ1日をもとに、その体験をこの場所でもう一度立ち上げていきます。今野さんは注意深く「日記をどう発表するか?ということではなくて、別の方法だとしても、どうやったらその時の体験を味わえるか?」といったようなことを繰り返します。








走り切る、けど、見過ごさない
今回の発表は1組。「酢橘をかけた焼きサバに感動した日」「久々に行った学校で、旅のエピソードが友人たちに大ウケした日」をもとに、2つの発表が並びます。

酢橘をかけた焼きサバ(と見立てたチョコレート)をペアの口に放り込む。それを噛み締めながら、200年前までさかのぼった、サバと酢橘の出会いについての歴史をホワイトボードに図解しながら観客に説明する。旅のエピソードが友人たちにウケた日のエピソードを観客に語る。その後ろで、旅のエピソードから着想したドローイングをホワイトボードに書きながら即興で鼻歌を歌う。最後には二人の鼻歌が重なりながら、ドローイングが完成する。

そのときのことをそのままに再現するわけではないものの、だからこそ、そのときの感覚が呼び起こされる。そして、それが分かち合われる。発表を終えて、発表した2人も確かな手応えを感じていた様子。その手応えは何を理由にして訪れるのか。今野さんからは「お互いが大事なものを大事にしたまま、走りきれていたと思います」、生徒の皆さんからは「観客の存在を無視していないところがよかった」などと、コメントが飛び交います。クラス全体としても自分たちが目指しているものの輪郭を掴んできている実感が重なっていきました。

次回授業も引き続き今回のように日記を持ち寄ることで生まれた発表を行う予定。今野さんの言う「感覚を頼りに、他人の感覚も大事にする」ことで立ち上がる演劇というものが、少しずつ理解が深まってきた気がします。

【リフレクションノート】
このクラスでは、文章やイラストや写真など、形式を問わずに生徒の皆さんの持ち回りで順番にリフレクションノートを提供してもらっています。それぞれの生きてきた経験。授業に参加して味わった体験。その体験が終わったあとの体験。さまざまな経験と体験が連なりながら、このクラスが進んでいきます。

==

「新しい演劇のつくり方(第4期)」クラスページはこちら