REPORT

「新しい演劇のつくり方(第3期)」第5回 戯曲④


戯曲を持ち寄り読み合わせる
GAKUによる演劇のクラス「新しい演劇のつくり方」。3期目となる今期は、昨年度に続いて本クラスの総合ディレクターを務める岡田利規さん(演劇作家、小説家で演劇カンパニー「チェルフィッチュ」主宰)による『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』を原作に、中高生である生徒全員が新たな物語の戯曲を書き、演出し、演じ、発表していきます。

9月1日(日)の第5回は、台風接近のためオンラインで授業を開講。前回授業で具体的なマップを作った「遊園地」を舞台に、生徒の皆さんが事前課題として書いた1シーン分の戯曲を読み合わせていきます。そこで描かれるそれぞれの登場人物の様子や関係性を考えて、戯曲の続きの構成を練っていきます。

登場人物たちが交わるシーン
どんなアトラクションがあるのか。どんな場所にあるのか。どんな人が訪れているのか。遊園地の具体的なイメージを膨らませ、大きな模造紙上にマップを作っていった前回。事前課題ではそれぞれが遊園地に訪れる来場客のイメージをさらに深め、1シーン分の戯曲を書き上げていきました。

仲良しなカップルを見つめるおじいさんの独り言のシーン、マスコットキャラクターの中の人同士の休憩中のシーン、やる気のないアルバイトにわざと迷子になった小学生が話しかけるシーン、元バンドメンバー同士がフードコートで高校時代を懐かしむシーンなど。生徒の皆さんと同じ10代の登場人物以外の描写も目立ちます。

物語の中から「書かずにはいられないこと」を探る
西尾さんが繰り返し口にする「書かずにはいられないこと」を探りながら、それぞれの戯曲をオンライン上で読み進めていきます。「迷子の子どもは、両親の前で子どもを演じているのかも」「ほかの登場人物と比べてカップルは純粋に幸せそうだね」「アルバイトの人は都会から引っ越してきた気がする」。声に出して読んでみると、ちょっとしたニュアンスの相違が話し合いの種にもなっていきます。

戯曲の隙間を想像する
全員の戯曲に目を通すと、自然と物語の流れも見えてくるようです。「みんなの言葉を大切にしたい」という西尾さんからはそれぞれの戯曲を繋ぎながら、その隙間のシーンを新たに考えていく書き方が提案されます。次回の授業では今日読み合わせた戯曲をもとに新たな戯曲を書き進めていきます。


執筆・写真:杉田聖司

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